悪性リンパ腫に対する自家骨髄移植後のCsA使用の臨床的検討

ハイリスクNHLに対して自家骨髄移植を施行後GVH誘導目的でCsAの少量持続投与を試みたが, 早期再発をきたした2症例についてCsAの効果と自家骨髄移植の問題点などについて検討したので報告する. 症例1は36歳の男性. 縦隔原発のNHL(LB)T, IVBでL-AdVPで1st CR. MT1でpurgingを行い, 自家骨髄移植を施行. 前処置はCY/TBI/Etopを使用し, 移植後GVH誘導目的でCsA少量投与を行った. 皮膚GVHD様の紅斑が出現しGVH誘導と考えた. しかし, day84より急速な肝障害, 発熱の出現でday99にIPで死亡した. 症例2は23歳男性. 皮膚原発のNH...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 40; no. 1; p. 187
Main Authors 小林寿美子, 盛暁生, 橋野聡, 小林一, 田中淳司, 今村雅寛, 桜田恵右, 宮崎保
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 1994
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ISSN0546-1448

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Summary:ハイリスクNHLに対して自家骨髄移植を施行後GVH誘導目的でCsAの少量持続投与を試みたが, 早期再発をきたした2症例についてCsAの効果と自家骨髄移植の問題点などについて検討したので報告する. 症例1は36歳の男性. 縦隔原発のNHL(LB)T, IVBでL-AdVPで1st CR. MT1でpurgingを行い, 自家骨髄移植を施行. 前処置はCY/TBI/Etopを使用し, 移植後GVH誘導目的でCsA少量投与を行った. 皮膚GVHD様の紅斑が出現しGVH誘導と考えた. しかし, day84より急速な肝障害, 発熱の出現でday99にIPで死亡した. 症例2は23歳男性. 皮膚原発のNHL(DL)T, IIIEA. L-AdVPで1st PRとなり, 前処置, CsAは症例1と同様に行い, 自家骨髄移植を施行. しかし, 皮疹の出現は見られず, day77に肝脾を中心とした早期再発をきたし死亡した. 剖検では2症例ともほぼ全臓器に再発を認め, CsA使用による明らかな臨床的抗腫瘍効果は評価し得なかった. ハイリスクのリンパ腫に対する自家骨髄移植のタイミング, 前処置, 初期治療, CsAの使用方法, 他のサイトカインの併用など改良工夫がより必要と思われた.
ISSN:0546-1448