抗D抗体を産生したDe1 の1例
<目的>Rh(D)陰性の中で, 抗D抗体吸着解離試験において, 抗D抗体の解離されるものをD^e1 としている. 従来, D^e1 は, 抗D抗体を産生しないNon-Responderと考えられていたが, 今回我々は, 抗D抗体を保有する1例を経験したので報告する. <発端者>発端者(E・T)は34歳の女性で, 血液型はB型, Cceeで, 2回の妊娠歴があり, 第1子, 第2子ともにRh(D)陽性である. 第1子出産時に免疫グロブリンを投与されているが, 第2子については不明である. <成績>発端者の血球に対する, 抗D抗体吸着解離試験では, 抗血清, 解...
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Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 33; no. 3; p. 322 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本輸血学会
01.05.1987
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ISSN | 0546-1448 |
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Summary: | <目的>Rh(D)陰性の中で, 抗D抗体吸着解離試験において, 抗D抗体の解離されるものをD^e1 としている. 従来, D^e1 は, 抗D抗体を産生しないNon-Responderと考えられていたが, 今回我々は, 抗D抗体を保有する1例を経験したので報告する. <発端者>発端者(E・T)は34歳の女性で, 血液型はB型, Cceeで, 2回の妊娠歴があり, 第1子, 第2子ともにRh(D)陽性である. 第1子出産時に免疫グロブリンを投与されているが, 第2子については不明である. <成績>発端者の血球に対する, 抗D抗体吸着解離試験では, 抗血清, 解離法ともに数種類で実施したが, 全ての解離液中に, 抗D抗体が解離され, D^e1 と判定された. また, 血清中の抗体は, 生食法陰性, ブロメリン法8倍, トリプシン法2倍, クームス法8倍で, 特異性は抗D抗体と同定された. この血清による. D(+)及びD^u 血球への吸着解離試験では, D^u 血球からは, 抗D抗体は解離されなかったが, D(+)血球からは解離された. <結果>本症例における, 抗体産生の原因は定かではないが, ワイナーやティペット等が, Rh(D)抗原の部分抗原を, 欠如すると, 抗D抗体を産生する報告をしていることから, 本症例も同様な理由で, 妊娠若しくはその他の免疫により産生したとも考えられるが, 確定は出来なかった. 今後, 更に家系調査等も含め検討を進めていきたい. |
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ISSN: | 0546-1448 |