PCR法を応用した血清および血漿材料からのHIV-1遺伝子検出

目的:我々はこれまでにPCR(polymerase chain reaction)法を応用して血清, 血漿, 血液製剤などの検体からHIV-1 RNAを検出する系(RNAPCR)の基礎的な検討を行なってきた. 今回は追跡観察中の血友病患者についてRNAPCRの成績と抗HIV-1抗体の関連を比較検討した. 材料:正常ヒト血清, 正常ヒト血漿, 患者血清, 患者血漿. 組換えHIV-1遺伝子:HXB-2D XbaI fragment(HIV-1 full lengthを含む12.7Kb). プライマーおよびプローブ:gag(SK38, 39, 19). 方法:血清, 血漿サンプル100μlにSTE...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 37; no. 2; p. 270
Main Authors 中永和枝, 東海林寿子, 吉原なみ子, 本多康次郎, 長尾大
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.03.1991
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Summary:目的:我々はこれまでにPCR(polymerase chain reaction)法を応用して血清, 血漿, 血液製剤などの検体からHIV-1 RNAを検出する系(RNAPCR)の基礎的な検討を行なってきた. 今回は追跡観察中の血友病患者についてRNAPCRの成績と抗HIV-1抗体の関連を比較検討した. 材料:正常ヒト血清, 正常ヒト血漿, 患者血清, 患者血漿. 組換えHIV-1遺伝子:HXB-2D XbaI fragment(HIV-1 full lengthを含む12.7Kb). プライマーおよびプローブ:gag(SK38, 39, 19). 方法:血清, 血漿サンプル100μlにSTEバッファーを加え遠心後, あるいはサンプル10μlより直接Proteinase-K, SDSを用いて抽出したRNAにリバーストランスクリプターゼを作用させcDNAを合成させた後Taqポリメラーゼを加えてPCRを行なった(RNAPCR). RNAPCR後のサンプルは^^32 P末端標識プローブとハイブリダイズさせ15%ポリアクリルアミドゲル電気泳動した後オートラジオグラフィー(liquid hybridization法)にて目的DNAの検出を行なった. 抗体検査はPA法でスクリーニングしたのちIFAおよびWB法で判定した. 結果と考察:抗HIV-1抗体陽性患者16例の血清40検体についてRNAPCRを行なったところ, 全例からHIV-1遺伝子(gag)が検出された. 現在抗HIV-1抗体が陽転する以前の保存検体について検討をすすめているが, 抗体陽転以前の血清からHIV-1遺伝子が検出される例も確認された. 感染成立後のWindow Periodにあって, 抗体が陽性となる以前の検体についてもHIV-1遺伝子が検出されたことから, RNAPCRはHIV-1感染の早期診断に有用な手段となるものと思われた. なおRNAPCRは血清, 血漿中のHIV-1RNAを目的とした検出系であるが, サンプル中のHIV-1プロウイルスDNAが含めて検出される可能性も考えられ, 現在検討中である.
ISSN:0546-1448