ACD液加血液保存に関する考察
血液保存, とくに赤血球保存について, つぎの3点が考慮されるべきと考える. 第1はHbの活性で, Hbは保存時に還元Hbか酸化Hbのいずれかに完全に偏していることにより, その可逆性が良く保たれる. また赤血球内では酵素が可逆性保持に関与している. この理論につき実験をおこない, 酸素化ACD血の輸血後生存率が静脈ACD血より長いことを証明した. 第2は, 赤血球膜の保存で, つぎの代謝と関連をもつが, 低分子デキストラン浮遊血の溶血度が少く, またKの細胞外遊出も少く, 輸血後生存率も良好であったことにより, その効果ありと判定した. pHの変動も酸素化血, デキストラン浮遊血でその変動が...
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Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 15; no. 5/6; pp. 249 - 250 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本輸血学会
01.11.1968
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ISSN | 0546-1448 |
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Summary: | 血液保存, とくに赤血球保存について, つぎの3点が考慮されるべきと考える. 第1はHbの活性で, Hbは保存時に還元Hbか酸化Hbのいずれかに完全に偏していることにより, その可逆性が良く保たれる. また赤血球内では酵素が可逆性保持に関与している. この理論につき実験をおこない, 酸素化ACD血の輸血後生存率が静脈ACD血より長いことを証明した. 第2は, 赤血球膜の保存で, つぎの代謝と関連をもつが, 低分子デキストラン浮遊血の溶血度が少く, またKの細胞外遊出も少く, 輸血後生存率も良好であったことにより, その効果ありと判定した. pHの変動も酸素化血, デキストラン浮遊血でその変動が少い. 第3は, 代謝で赤血球では主として解糖が行われているが, 酸素化保存血では, 静脈保存血に比し, ピルビン酸の増加が, 保存2週目より著しく, 逆に乳酸値は低値となっている. この事実は, 酸素化血で代謝が促進していることをしめしている. この代謝促進のある酸素化血で輸血後, 赤血球生存率が延長していることは, 従来の保存に関してできるだけ, 糖代謝を抑えるべしとする概念とは全く相反するものであり, この点に主眼を置いて今回は代謝促進剤として, グルタチオンを加え, 保存後の輸血後赤血球生存率を指標に調べた結果, 良好なる成績をえたので発表する. |
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ISSN: | 0546-1448 |