寒冷刺激の筋活動への影響

「目的」寒冷療法後の運動療法におけるリスク管理を行うため, 寒冷刺激による筋活動への影響を, 筋電図および筋力の両面から検討した. 「対象および方法」対象は健常な成人男子10名で, 平均年齢は28.0歳であった. 寒冷刺激は4℃の冷水浴で15分間とした. 測定は寒冷刺激なし, 寒冷刺激直後, 15分後および30分後で行い, 各測定日は疲労を考慮し, 2日以上の間隔をあけた. 被験者は下腿三頭筋の最大等尺性収縮を90秒間行いpeak torqueを測定した. 同時に, 表面筋電図から得られたアナログ信号をHenlly Japan社製AMLABに取り込み, 積分筋電図および中間パワー周波数(以下M...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 36; no. 11; pp. 770 - 771
Main Authors 星昌孝, 渡辺要一, 赤木家康, 今村安秀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.11.1999
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ISSN0034-351X

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Summary:「目的」寒冷療法後の運動療法におけるリスク管理を行うため, 寒冷刺激による筋活動への影響を, 筋電図および筋力の両面から検討した. 「対象および方法」対象は健常な成人男子10名で, 平均年齢は28.0歳であった. 寒冷刺激は4℃の冷水浴で15分間とした. 測定は寒冷刺激なし, 寒冷刺激直後, 15分後および30分後で行い, 各測定日は疲労を考慮し, 2日以上の間隔をあけた. 被験者は下腿三頭筋の最大等尺性収縮を90秒間行いpeak torqueを測定した. 同時に, 表面筋電図から得られたアナログ信号をHenlly Japan社製AMLABに取り込み, 積分筋電図および中間パワー周波数(以下MdPF)を最大等尺性収縮開始直後, 30秒, 60秒および90秒で算出した. 「結果」MdPFは寒冷刺激なしと比較し, 寒冷刺激直後, 15分後および30分後の順に徐波化を示した. 積分筋電図は寒冷刺激直後に積分値の増加がみられ, 寒冷刺激15分後, 30分後と漸減した. Peak torqueは寒冷刺激なしと比べ, 有意に寒冷刺激直後, 寒冷刺激15分後および30分後の順に低下した. 「考察」以上の結果から, 寒冷刺激によって運動単位の発射頻度およびその動員数は減少し, 筋出力も低下していると考えられた. 寒冷療法後の筋活動は, 効率が低下していると考えられ, 運動療法を行う際は, 30分以上の間隔が必要であると思われた.
ISSN:0034-351X