中・高年齢者に対するボール体操による転倒予防教室

「目的」中・高齢者でも無理なく安全で, 効果的に筋力の増強が期待できる, ボールを用いた医学体操を考案し, これを実践して来た. 今回, その体操方法を紹介するとともに, 転倒予防に対する有用性を検討したので報告する. 「対象および方法」平成11年3~9月の6カ月間にボールを用いた転倒予防教室を開催した. 体操開始前および6カ月経過時にメディカルチェックを施行した29人を対象とした. 全例女性であり, 平均年齢64.6歳(55~74歳)であった. メディカルチェックは問診, 血液検査, 血圧測定, 心電図, 重心動揺検査, 体幹・下肢の筋力測定, 歩行速度, 骨密度, 心理テストを施行した....

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inリハビリテーション医学 Vol. 37; no. 11; p. 880
Main Authors 日比野豊, 別府諸兄, 石井庄次, 青木治人, 田口順子, 石井千恵, 別府裕美子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.11.2000
Online AccessGet full text
ISSN0034-351X

Cover

More Information
Summary:「目的」中・高齢者でも無理なく安全で, 効果的に筋力の増強が期待できる, ボールを用いた医学体操を考案し, これを実践して来た. 今回, その体操方法を紹介するとともに, 転倒予防に対する有用性を検討したので報告する. 「対象および方法」平成11年3~9月の6カ月間にボールを用いた転倒予防教室を開催した. 体操開始前および6カ月経過時にメディカルチェックを施行した29人を対象とした. 全例女性であり, 平均年齢64.6歳(55~74歳)であった. メディカルチェックは問診, 血液検査, 血圧測定, 心電図, 重心動揺検査, 体幹・下肢の筋力測定, 歩行速度, 骨密度, 心理テストを施行した. 今回は, これらの検索項目の内, 重心動揺検査, 体幹・下肢の筋力測定を中心に統計学的に解析し検討した. 尚, 重心動揺検査はアニマ社製重心動揺計G5500を使用, 開眼・閉眼共に3同ずつ行った. 筋力測定は検者を1人に限定し, 体操教室開始前と6カ月後に徒手的に行った. 「結果」有意に改善が認められた項目は下肢体幹の筋力で, 腹筋, 背筋, 大殿筋, 大腿四頭筋, 大腿部膝屈筋が増強していた(WILCOXON検定). 重心動揺検査では開眼・閉眼ともに統計学的有意差は認められなかったものの, 半数以上に軌跡長に改善を認めた. 「まとめ」我々は, 高齢者の生活の質(QOL)に注目し筋力の低下, 平衡感覚の低下による転倒を予防する目的でボールを用いた医学体操を考案, 実践し, その有用性を認めた.
ISSN:0034-351X