立位姿勢における体重心の位置

【目的】立位姿勢における体重心の位置を知る目的で次の検討を行った. 【方法】調査対象は健康成人58名で男性33名(平均23歳), 女性25名(平均20歳)である. 測定方法は, 矢状断(前後方向)は重心計を用いてCOP(足底圧中心)を求めた. 頭尾方向の重心位置は, バランスボードの上でテコの原理を応用した直接法(AB×W^1 =AG×W^0 :Gを求める重心位置とした)を用いた. COPから立てた垂線とGとの交点を体重心の位置と仮定し, この部位にX線で確認できるマーカーを貼付し, 自然起立位で脊柱全長立位側面X線写真ならびに全身の立位側面普通写真を撮影した. 【結果】頭尾方向における重心高...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 32; no. 11; pp. 727 - 728
Main Authors 原田孝, 茂手木三男, 岡島行一, 伊藤泰雄, 鶴岡広
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.11.1995
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ISSN0034-351X

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Summary:【目的】立位姿勢における体重心の位置を知る目的で次の検討を行った. 【方法】調査対象は健康成人58名で男性33名(平均23歳), 女性25名(平均20歳)である. 測定方法は, 矢状断(前後方向)は重心計を用いてCOP(足底圧中心)を求めた. 頭尾方向の重心位置は, バランスボードの上でテコの原理を応用した直接法(AB×W^1 =AG×W^0 :Gを求める重心位置とした)を用いた. COPから立てた垂線とGとの交点を体重心の位置と仮定し, この部位にX線で確認できるマーカーを貼付し, 自然起立位で脊柱全長立位側面X線写真ならびに全身の立位側面普通写真を撮影した. 【結果】頭尾方向における重心高位は足底から55%が28症例(49%)を占め, 54%が13症例(22%), 53%が10症例(17%), その他が7症例(12%)であった. 体重心高位と身長, 体重, 足長との間にはそれぞれr=0.549, r=0.444, r=0.545と正の相関を示した(危険率いずれもp<0.01). 矢状面立位側面X線写真での体重心の位置は, 股関節と仙椎の間にある症例(A群)が66%を占め, その他の症例(B群)はA群より中枢に位置し, 胸椎後弯の形成も大で腰椎部の重心線も偏位していた. 【結語】立位姿勢における体重心位置は股関節と仙椎との中間にあることから, 体重心位置の異常(偏位)は姿勢の調節障害に由来する愁訴発現と関連性があるものと推察された.
ISSN:0034-351X