下腿を前傾位に保持する装具で歩行能力が向上した両麻痺児の例

痙性尖足変形に対して下腿を前傾位にする下肢装具の効用については, 姿勢や腰痛を改善できた例を報告した. 今回は5歳8カ月男児, 2歳女児, 2歳5カ月女児の両麻痺児に, その歩き始めにこのタイプの装具を使用させてみた. そうしたところ膝反張と腰椎前弯が軽減するなどの立位姿勢が改善し, スロープが上れたとかローガードになって左右への揺れが減った, 速くなったなど歩行能力も飛躍的に向上した. このハイヒール効果としてToe-offのとき既に接地面に対して前傾しているのでより早いタイミングで前へ振り出せるのではないかと考えた. また体重支持面が足と下腿前面にひろがることで安定が得られ, 姿勢が改善す...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 37; no. 3; p. 181
Main Author 岡川敏郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.03.2000
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ISSN0034-351X

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Summary:痙性尖足変形に対して下腿を前傾位にする下肢装具の効用については, 姿勢や腰痛を改善できた例を報告した. 今回は5歳8カ月男児, 2歳女児, 2歳5カ月女児の両麻痺児に, その歩き始めにこのタイプの装具を使用させてみた. そうしたところ膝反張と腰椎前弯が軽減するなどの立位姿勢が改善し, スロープが上れたとかローガードになって左右への揺れが減った, 速くなったなど歩行能力も飛躍的に向上した. このハイヒール効果としてToe-offのとき既に接地面に対して前傾しているのでより早いタイミングで前へ振り出せるのではないかと考えた. また体重支持面が足と下腿前面にひろがることで安定が得られ, 姿勢が改善するとも考えた. 歩き始めの両麻痺児に歩行訓練の1つとして用いても良い方法と考えた. しかしこのときのアラインメントは本来のものとは異なるので一時期の装用にとどめたいと思っている.
ISSN:0034-351X