原因を特定しかねている健側下肢筋の拘縮をきたした左片麻痺の1例

「症例」63歳, 男性. 「疾患名」右被殻出血. 「障害名」左片麻痺. 「合併症」両下肢股関節・膝関節拘縮, 認知機能低下. 「現病歴」平成11年7月10日夕方, 突然左片麻痺が出現, 救急センターに搬送された. CTで右被殻出血(出血量約5ml)を認め, 保存的に加療された. 発症時軽度の意識障害, 顔面を含む左片麻痺, 尿便失禁を認めたが, 経過良好であったため第5病日目に一般病院に転院となった. 転院後直ちにリハビリテーションも行われたが, 徐々に患側の頸肩腕症候群, 浮腫をきたし不眠となり薬物療法を受けた. 正規リハのため同年12月1日当院に転院となった. 「入院時現症」明らかな失認・...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 37; no. 12; p. 1054
Main Authors 佐藤典子, 花籠良一, 木村宗孝, 武田克彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.12.2000
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ISSN0034-351X

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Summary:「症例」63歳, 男性. 「疾患名」右被殻出血. 「障害名」左片麻痺. 「合併症」両下肢股関節・膝関節拘縮, 認知機能低下. 「現病歴」平成11年7月10日夕方, 突然左片麻痺が出現, 救急センターに搬送された. CTで右被殻出血(出血量約5ml)を認め, 保存的に加療された. 発症時軽度の意識障害, 顔面を含む左片麻痺, 尿便失禁を認めたが, 経過良好であったため第5病日目に一般病院に転院となった. 転院後直ちにリハビリテーションも行われたが, 徐々に患側の頸肩腕症候群, 浮腫をきたし不眠となり薬物療法を受けた. 正規リハのため同年12月1日当院に転院となった. 「入院時現症」明らかな失認・失行は認めなかったが, 意欲の低下, 反応性の遅延などが認められた. 左片麻痺はBr-stage左上肢III, 左手指IV, 下肢・体幹IVであった. また患側だけではなく健側下肢にも股関節・膝関節の著明な屈曲拘縮を認め起立が困難であった. 健側下肢の筋力低下はなく, 錐体路徴候も認めなかった. またパーキンソニズムや関節の器質的な異常は認めなかった. 「経過」約5ヵ月間のリハでは, 両下肢の関節拘縮の改善は乏しく現在も起立・歩行を目的としたリハが困難である. 「考察」健側下肢の関節拘縮の原因として, 患側下肢の連合運動に関連した不良肢位が関与した可能性がある.
ISSN:0034-351X