悪性腫瘍脊椎転移に対するリハビリテーションの限界について

「目的」悪性腫瘍の脊椎転移患者に対するリハビリテーション(以下リハ)は途中で断念せざるを得ないことも多く, リハの限界について検討した. 「方法」1985年6月より1996年4月までに当院入院患者でリハを行った19例を対象に, 症例分析とともに, 症例を軽快退院群, 病状不変群, 悪化群に分けて, リハを行う主目的と, リハを断念した例ではその理由について検討した. 「結果」症例は男12例, 女7例で, 年齢は39歳から83歳で平均61.2歳であった. 原発は前立腺癌4例, 肺癌4例, 大腸癌3例, 乳癌2例, その他6例であり, 麻痺は四肢不全麻痺3例, 完全対麻痺4例, 不全対麻痺8例,...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 34; no. 11; p. 804
Main Authors 中村哲雄, 小野美栄, 小沢義典
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.11.1997
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Summary:「目的」悪性腫瘍の脊椎転移患者に対するリハビリテーション(以下リハ)は途中で断念せざるを得ないことも多く, リハの限界について検討した. 「方法」1985年6月より1996年4月までに当院入院患者でリハを行った19例を対象に, 症例分析とともに, 症例を軽快退院群, 病状不変群, 悪化群に分けて, リハを行う主目的と, リハを断念した例ではその理由について検討した. 「結果」症例は男12例, 女7例で, 年齢は39歳から83歳で平均61.2歳であった. 原発は前立腺癌4例, 肺癌4例, 大腸癌3例, 乳癌2例, その他6例であり, 麻痺は四肢不全麻痺3例, 完全対麻痺4例, 不全対麻痺8例, 麻痺なし3例, その他1例であった. リハ期間は10日から307日, 平均75.6日であり, 軽快退院したもの5例, 病状不変群4例, 病状悪化しリハを中止したもの10例であった. 病状悪化群のリハ開始時の主目的は, 機能回復2例, 機能維持3例, 拘縮予防4例, 症状緩和1例であり, 中止した理由は呼吸困難, 疼痛, 全身状態悪化などである. 「結論」悪性腫瘍脊椎転移患者で悪化していく例では, どこまでリハを行うのか難しいが, 精神的サポートという点から, 患者の状態が許すかぎり, ぎりぎりまでリハを行うのがよいと考えられた.
ISSN:0034-351X