スワンネック変形に対するシルバー製装具の検討

スワンネック変形に対するring状のPIP過伸展防止スプリントは, 変形の矯正と同時に正常範囲内での運動を可能とする機能的な装具であり, その有用性については第22回の本学会でも報告した. 熱可塑性プラスチック製のring type splintの欠点を補うべく開発したシルバー製の装具(京セラ:Ring Mate MK1)を使用し検討を加えた. 平成6年9月~平成7年9月までに15例31指(男性2, 女性13, 平均56.2歳)の3~12(平均6.6)カ月の使用状況と効果を調査した. 1日平均16.3時間使用し, 装具の使用によって9人60%にADLの改善がみられ, 変形の矯正は全例良好であっ...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 36; no. 12; p. 939
Main Authors 南川義隆, 菅俊光
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.12.1999
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ISSN0034-351X

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Summary:スワンネック変形に対するring状のPIP過伸展防止スプリントは, 変形の矯正と同時に正常範囲内での運動を可能とする機能的な装具であり, その有用性については第22回の本学会でも報告した. 熱可塑性プラスチック製のring type splintの欠点を補うべく開発したシルバー製の装具(京セラ:Ring Mate MK1)を使用し検討を加えた. 平成6年9月~平成7年9月までに15例31指(男性2, 女性13, 平均56.2歳)の3~12(平均6.6)カ月の使用状況と効果を調査した. 1日平均16.3時間使用し, 装具の使用によって9人60%にADLの改善がみられ, 変形の矯正は全例良好であった. ring splintによる皮膚刺激症状やring splintの破損は見られず, ADLの改善度にかかわりなく全例が装具に満足していた. Ring Mate MK1による機能改善効果を知るために, スワンネック変形の屈曲パターンをビデオ撮影により分析した. 変形が進行すると, 指の屈曲運動に際して, DIP関節の屈曲だけが進行し, スナッピングと共にPIP関節が急激に屈曲する運動パターンがみられる. このような症例に, Ring Mate MK1を装着させると, 変形の矯正だけでなく, PIP関節を屈曲位に保つことにより, 背側に移動していたlateral bandの掌側移動を助け, スナッピングのない, より正常に近い運動パターンとなることがわかった.
ISSN:0034-351X