当院における自己血輸血の現状と問題点
(目的) 当院では同種血輸血による種々の合併症の回避のために, 平成9年6月より自己血輸血を開始した. 現在までの当院における自己血輸血の現状と問題点について報告する. (対象及び症例数) 平成9年6月から11月までに自己血輸血及び採血マニュアルを基準とし22例の患者について貯血方式で400~1200mlの自己血輸血を実施した. 採血は各依頼科の外来診療室或いは病棟において担当医が行い, 血液の保管管理は全血液の状態で輸血センターが担当した. 対象患者の内訳は男性13例, 女性9例で, 年齢は35~76才(平均59才)であった. それぞれの患者の貯血量は400ml-1例(消化器外科-1), 6...
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Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 44; no. 2; p. 170 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本輸血学会
01.04.1998
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ISSN | 0546-1448 |
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Summary: | (目的) 当院では同種血輸血による種々の合併症の回避のために, 平成9年6月より自己血輸血を開始した. 現在までの当院における自己血輸血の現状と問題点について報告する. (対象及び症例数) 平成9年6月から11月までに自己血輸血及び採血マニュアルを基準とし22例の患者について貯血方式で400~1200mlの自己血輸血を実施した. 採血は各依頼科の外来診療室或いは病棟において担当医が行い, 血液の保管管理は全血液の状態で輸血センターが担当した. 対象患者の内訳は男性13例, 女性9例で, 年齢は35~76才(平均59才)であった. それぞれの患者の貯血量は400ml-1例(消化器外科-1), 600ml-5例(整形外科-4, 耳鼻咽喉科-1), 800ml-7例(整-5, 泌尿器科-1, 耳-1), 1000ml-2例(整-1, 泌-1), 1200ml-7例(泌-7)であった. (結果) 22例中21例は自己血のみで手術を終了し, 泌尿器科の膀胱腫瘍による膀胱全摘出術において, 赤血球MAP10単位, FFP7単位の同種血を追加した. 貯血期間中にエリスロポエチンの投与例が13例, 鉄剤の投与例が19例あるが薬剤による副作用の報告はなかった. 採血時の副作用として, VVR I度, 気分不快がそれぞれ1例認められた. また, 自己血の輸血時に発赤を認めたものが1例あった. (まとめ) 自己血輸血マニュアル, 採血マニュアルを基準に当院においても貯血方式による自己血輸血を開始することができた. 採血時の副作用を防止するために自己血輸血についてのインフォームドコンセントを徹底する事, 採血場所の環境の改善が望まれた. 輸血時に発赤を認めた症例では自己血輸血であっても経過観察が必要である事を経験した. |
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ISSN: | 0546-1448 |