受動喫煙を防ぐことによる循環器疾患への影響

「はじめに」近年, 受動喫煙による健康への影響が明らかになってきた. 非喫煙者の成人では, 肺癌, 副鼻腔癌, 虚血性心疾患のリスクが受動喫煙曝露により上昇することが報告されている. 子供では, 乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクが大きく上昇するほか, 肺炎, 気管支炎, 気管支喘息, 中耳炎のリスクが上昇することも明らかになっている. また, 妊婦は, 吸わなくても家族の喫煙により乳児の出生体重が減少することもわかっており, 受動喫煙を防ぐための対策が緊急の課題である. 「受動喫煙とは」受動喫煙とは, 非喫煙者が喫煙者の吸っているタバコの副流煙や喫煙者の吐き出す呼出煙を吸うことであり,...

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Published in心臓 Vol. 39; no. 6; pp. 505 - 509
Main Authors 久保田和充, 三浦伸一郎, 朔啓二郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本心臓財団 15.06.2007
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ISSN0586-4488

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Summary:「はじめに」近年, 受動喫煙による健康への影響が明らかになってきた. 非喫煙者の成人では, 肺癌, 副鼻腔癌, 虚血性心疾患のリスクが受動喫煙曝露により上昇することが報告されている. 子供では, 乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクが大きく上昇するほか, 肺炎, 気管支炎, 気管支喘息, 中耳炎のリスクが上昇することも明らかになっている. また, 妊婦は, 吸わなくても家族の喫煙により乳児の出生体重が減少することもわかっており, 受動喫煙を防ぐための対策が緊急の課題である. 「受動喫煙とは」受動喫煙とは, 非喫煙者が喫煙者の吸っているタバコの副流煙や喫煙者の吐き出す呼出煙を吸うことであり, 喫煙を能動喫煙ととらえた場合の反対語である. これに対し, 強制喫煙とは, 同じ状況を示す言葉であるが, より意味合いが強くなる. また, 間接喫煙という表現もある. さらに, 環境中たばこ煙(environmental tobacco smoke;ETS)とは, 室内における呼出煙と副流煙が混じり合ったものの総称で, 現在では室内空気汚染物質の主たるものと位置づけられている. したがって, 環境中たばこ煙としてしまうと無理やり吸わされているという表現が弱められてしまうため, 受動喫煙もしくは強制喫煙というのがふさわしいと思われる1)~4).
ISSN:0586-4488