気管支鏡検査で多発性隆起病変を認めたMALTリンパ腫の1例
症例は63歳の女性. 咽頭部違和感を主訴に耳鼻科受診. 下咽頭後壁に隆起性病変を認め, 病理組織より下咽頭癌(Squamous cell carcinoma)と診断された. 頸部CTにて声帯直下気管壁腹側より内腔に突出するφ10mmの結節を指摘され当科を紹介受診した. 気管支鏡検査にて声帯直下・声帯下10cm・左上下幹分岐部の3ヶ所に, φ8~12mmの表面平滑で粘膜は保たれ, 血管増生を伴う柔らかい隆起性病変を認めた. この病変はいくつかの隆起が集まった所見であった. 同部位の生検では, 濾胞を破壊するように増殖する小~中リンパ球を認め免疫染色の結果と併せてMALTリンパ腫と診断した. MA...
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Published in | 気管支学 Vol. 30; no. 4; p. 233 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本呼吸器内視鏡学会
25.07.2008
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ISSN | 0287-2137 |
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Summary: | 症例は63歳の女性. 咽頭部違和感を主訴に耳鼻科受診. 下咽頭後壁に隆起性病変を認め, 病理組織より下咽頭癌(Squamous cell carcinoma)と診断された. 頸部CTにて声帯直下気管壁腹側より内腔に突出するφ10mmの結節を指摘され当科を紹介受診した. 気管支鏡検査にて声帯直下・声帯下10cm・左上下幹分岐部の3ヶ所に, φ8~12mmの表面平滑で粘膜は保たれ, 血管増生を伴う柔らかい隆起性病変を認めた. この病変はいくつかの隆起が集まった所見であった. 同部位の生検では, 濾胞を破壊するように増殖する小~中リンパ球を認め免疫染色の結果と併せてMALTリンパ腫と診断した. MALTリンパ腫は胃・十二指腸に多く発生する低悪性度リンパ腫であるが, 肺・甲状腺・眼付属器などにも発生することが知られている. 気管・気管支内腔に興味深い所見を認めたので若干の文献的考察を加えて報告する. |
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ISSN: | 0287-2137 |