(I-6-2)脳卒中回復期における嚥下障害の予後予測(第1報)-多重名義ロジスティック解析による予後予測モデルの試案

【はじめに】脳卒中発症後嚥下障害が遷延する場合, 経口摂取のみとなる症例がある一方, 経管栄養継続が必要となる症例がある. リハビリアプローチの決定や適切なゴール設定のためには予後予測が必要であるが報告は少ない. 今回, 我々は回復期病棟入院時のデータを用いて予後予測モデルを作成した. 【対象・方法】平成16年10月~平成17年9月に入院した藤島の嚥下障害グレード(Gr.I)の32例. 年齢中央値71歳(38-88歳), 発症から当院入院までの日数は中央値51日(20-87日). 退院時, 経口のみで栄養可能(Gr.III)となったものを回復群, 一部でも経管栄養を必要としたもの(Gr.I+I...

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Published in日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 Vol. 10; no. 3; p. 324
Main Authors 大渡崇世, 前田達慶, 赤藤紗織, 小山哲男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会 31.12.2006
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ISSN1343-8441

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Summary:【はじめに】脳卒中発症後嚥下障害が遷延する場合, 経口摂取のみとなる症例がある一方, 経管栄養継続が必要となる症例がある. リハビリアプローチの決定や適切なゴール設定のためには予後予測が必要であるが報告は少ない. 今回, 我々は回復期病棟入院時のデータを用いて予後予測モデルを作成した. 【対象・方法】平成16年10月~平成17年9月に入院した藤島の嚥下障害グレード(Gr.I)の32例. 年齢中央値71歳(38-88歳), 発症から当院入院までの日数は中央値51日(20-87日). 退院時, 経口のみで栄養可能(Gr.III)となったものを回復群, 一部でも経管栄養を必要としたもの(Gr.I+II)を非回復群とし, 病変部位, 初再発, 当院入院時の年齢, 発症からの日数, Functional Independence Measure運動項目合計点(FIM運動)および認知項目合計点(FIM認知)などについて統計的分析を行った. 【結果】退院時, Gr.I 9例, Gr.II 6例, Gr.III 7例. 72%が改善, 内, 回復群は53%. 回復群と非回復群との比較では, 年齢, 発症からの日数, FIM運動, FIM認知に有意差を認めた. さらに母集団を初発, テント上病変(N=16)に限定, これらを説明変数として多重名義ロジスティック分析で解析, 作成したモデル(推定値:年齢-0.064, 発症からの日数-0.127, FIM運動0.342, FIM認知0.154, 切片1008.29)の当てはまりは統計的に有意であった(P<0.0003, ROC曲線下面積0.933). 【まとめ】脳卒中回復期のリハビリにおいて, 初発, テント上病変例では入院時の年齢, 発症からの日数, FIM運動および認知により嚥下機能の予後予測が可能と考えた. 今後, このモデルの検証と併行して, 今回モデルに組み入れていない変数の検討がさらに必要であると考えた.
ISSN:1343-8441