TCDによるスパズム診断の問題点

はじめに Transcranial Dopplarultrasonography(以下TCD)による主幹動脈のflow velocity(以下FV)の測定はくも膜下出血後の脳血管攣縮の診断において, 非侵襲的に繰り返し測定が可能で虚血症状の発現より早期に血管攣縮をとらえることができるといった点で非常に有用な検査法である. しかしながら, 測定そのものが困難な症例があること, 末梢性の血管攣縮に対しては診断が困難であることなど問題点も少なくない. われわれは脳血管攣縮の発現が予想されるすべての症例に対しTCDを施行し脳血管攣縮の診断・治療に利用しているが, 近年には術後早期に脳血管撮影を施行する...

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Published inNeurosonology Vol. 9; no. 4; pp. 119 - 123
Main Authors 三平剛志, 波出石弘, 川村伸悟, 野々山裕, 鈴木明文, 安井信之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経超音波学会 30.11.1996
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ISSN0917-074X

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Summary:はじめに Transcranial Dopplarultrasonography(以下TCD)による主幹動脈のflow velocity(以下FV)の測定はくも膜下出血後の脳血管攣縮の診断において, 非侵襲的に繰り返し測定が可能で虚血症状の発現より早期に血管攣縮をとらえることができるといった点で非常に有用な検査法である. しかしながら, 測定そのものが困難な症例があること, 末梢性の血管攣縮に対しては診断が困難であることなど問題点も少なくない. われわれは脳血管攣縮の発現が予想されるすべての症例に対しTCDを施行し脳血管攣縮の診断・治療に利用しているが, 近年には術後早期に脳血管撮影を施行するようになり, TCD所見が実際の脳血管攣縮の程度を反映しない症例を経験することがあり今回の調査を行った. 対象・方法 1993年の1年間に当センターで発症72時間以内の急性期に根治手術を施行し術後経日的にTCDで主幹動脈のFVを測定し得たウィリス輪前半部脳動脈瘤破裂くも膜下出血症例のうち, 発症14日(平均9.9日)以内の脳血管攣縮期に術後の脳血管撮影を施行した33例(平均57.4歳)を対象とした.
ISSN:0917-074X