顎顔面非対称症例に対する術後評価
非対称を伴う下顎前突症に対する手術に対しては, 従来より下顎枝矢状分割術および下顎枝垂直骨切り術を併用する方法など報告されているが, 今回下顎非対称に対して両側矢状分割術を行い, 術後の対称性の変化について検討したので報告する. 対象は上顎骨に変形を認めず下顎に4ミリ以上の偏位を認める患者を顔面非対称として10名を選び, 下顎対称群として上下顎の正中がほぼ一致しておりかつ上顎の位置大きさがほぼ標準的である下顎前突症患者10名を選んだ. 術式は両側に矢状分割術を選択し固定の方法としては非対称も対称もそれぞれ10症例中6例をスクリューによる固定, 残りはプレートによる固定であった. 分析方法につい...
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Published in | 日本顎変形症学会雑誌 Vol. 8; no. 2; p. 112 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本顎変形症学会
15.08.1998
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ISSN | 0916-7048 |
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Summary: | 非対称を伴う下顎前突症に対する手術に対しては, 従来より下顎枝矢状分割術および下顎枝垂直骨切り術を併用する方法など報告されているが, 今回下顎非対称に対して両側矢状分割術を行い, 術後の対称性の変化について検討したので報告する. 対象は上顎骨に変形を認めず下顎に4ミリ以上の偏位を認める患者を顔面非対称として10名を選び, 下顎対称群として上下顎の正中がほぼ一致しておりかつ上顎の位置大きさがほぼ標準的である下顎前突症患者10名を選んだ. 術式は両側に矢状分割術を選択し固定の方法としては非対称も対称もそれぞれ10症例中6例をスクリューによる固定, 残りはプレートによる固定であった. 分析方法については, 手術による変化量と, 術後1年の後戻り量との2群間の平均値の差についてt検定をおこなった. また左右のセットバック量の差と後戻り量の相関についても調べた. 下顎非対称の改善の為に下顎の移動が回転を主体としたものほど後戻りの傾向があるが, 今回の症例の中で下顎の偏位が4~10ミリ内の非対称で左右の後方移動量の差が平均6ミリのものでは歯性および骨格的にも後戻りが見られなかった. 下顎枝矢状分割術においてはスクリューやプレートを用いた強固な固定法を用いており, 今回のような下顎非対称症例であれば両側下顎枝矢状分割術でもrigidな固定を行えば術後1年経適してもほぼ安定した位置にあった. 質問 岡山大, 歯, 2口外 上山吉哉 1. 固定法をscrewとminiplateの2法で行われているが, その使いわけはどのような基準で行っているのか. 2. 左右偏位量が大きい時screwで固定すれば, 顎関節の位置が変化すると思うが, 術後顎関節に症状は出現しなかったか. 回答 奈良医大, 口外 辻村節子 プレート固定とスクリュー固定の2つを行っているようですが, 使いわけはどのようにされていまか. 最近の症例に対してはスクリューを用いていますが, それまでの症例に対してはプレートを用いました. 術後顎関節症状が出た症例はなかったのですか. 術前, 術後において顎関節症状は認められておりません. |
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ISSN: | 0916-7048 |