BLADシステムを用いた輸血検査のシステム化

【目的】現在輸血検査の効率化および検査過誤防止のため・コンピュターシステムを利用した管理システムが普及しつつある. 当院でも95年より汎用のBLADシステム(富士通:windows3.1版)でシステム化を行い, 98年8月にWindowsNT版にバージョンアップし, 日常の輸血検査, 夜間の管理当直, 自己血の管理および統計処理等を行い当初の目的を達成している. さらに, このシステムでは, 過去のデーターは, MOやその他の外部媒体に保存して削除することなく, 通常使用しているシステムのディスクに保存したまま, 長期間の輸血歴を簡単に迅速に検索することが可能となったので報告する. 【方法】血...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 45; no. 2; p. 304
Main Authors 曽根伸治, 堀江登志子, 奥山マチ子, 宮本光子, 宮下恵美子, 早川雅之, 岡野智子, 名倉豊, 柴田洋一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.04.1999
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ISSN0546-1448

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Summary:【目的】現在輸血検査の効率化および検査過誤防止のため・コンピュターシステムを利用した管理システムが普及しつつある. 当院でも95年より汎用のBLADシステム(富士通:windows3.1版)でシステム化を行い, 98年8月にWindowsNT版にバージョンアップし, 日常の輸血検査, 夜間の管理当直, 自己血の管理および統計処理等を行い当初の目的を達成している. さらに, このシステムでは, 過去のデーターは, MOやその他の外部媒体に保存して削除することなく, 通常使用しているシステムのディスクに保存したまま, 長期間の輸血歴を簡単に迅速に検索することが可能となったので報告する. 【方法】血液型検査は, 主治医が病棟や外来でABO型オモテ検査を行い, この結果を診療系システムより入力して検査依頼し, 輸血部で検査して一致する場合のみ結果報告する. これらの検体で不規則抗体等のスクリーニングを行い, その結果や異型骨髄移植などの情報を患者基本情報に登録した. 伝票で提出された輸血用血液の依頼はシステムに登録し, この際に患者の血液型や感染症の結果は患者基本情報にオンライン入力される. 血液センターより取り寄せた血液の製剤情報は, 凍結血漿はFDから登録し, その他の血液はラベル上のバーコードを利用して登録した. また, 輸血用血液のABO型以外の赤血球抗原を登録をすることで, 抗体保有者のチェックを可能とした. さらに患者の輸血歴を正しく管理するため輸血用血越に添付した適合票の下半分に副作用の有無や使用日を記入し, 病棟, 手術室から返却してもらい, 使用状況を入力した. 【結果】病棟で主治医がABO型オモテ検査を行うことで, ダブルチッェクが可能であった. BLADシステムでは有効期限切れやABO型不適合製剤, 抗体保有者への供給時は, 必ず警報が表示され, 再度確認しないと供給できなくなった. さらに使用した輸血用血液の適合票を戻してもらうことで輸血歴が正しく登録可能となった. 適合票は約90%以上回収され, 発熱, 発疹などの輸血副作用は, 使用された全ての輸血用血液バックの約1%程度に報告された. また, 病棟などに供給されて未使用のものがあることも判明した. 【結論】このシステムは, 当院用に特別に作製されたものでなく, 市販のシステムで各施設の規模にあわせて, ハードの構成や使用する業務を選択可能で非常に汎用性の高いシステムであった. 今後, 輸血用血液の依頼を医師が診療系システムから入力する伝票レス方式やBLADシステムから医事会計情報を転送する方式の導入およびゲル法による血液型やスクリーニング検査の自動機器の接続を行い, さらに, 過誤を防止した省力化を考えたい.
ISSN:0546-1448