赤血球汎凝集Thの1症例

Thは, 1978年にBirdらによりピーナツレクチンに凝集するT, Tkに続くPolyaggulutination(以下PA)として報告された. これらは, いずれも細菌感染症によるものであるが, 我が国で発表された症例はいずれも感染症は否定されている. 我々は, 胸部手術創がMRSAに感染しているMDS症例に, Thが出現したので報告する. 症例:昭和53年にMVR, TAP術を受け, その後薬剤治療を受けていた. 平成2年1月, 歯肉出血からPancytopenia, MDSと診断される. 平成3年3月, 上記の再置換術を受けるため入院. 血液型はA2であったが, PAは観察されなかった...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 38; no. 6; p. 863
Main Authors 佐々木正照, 早坂亨子, 男澤聖子, 太田由紀子, 上原信之, 遠藤輝夫, 大水幸雄, 黒川一郎, 田中利明, 安倍十三夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.12.1992
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ISSN0546-1448

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Summary:Thは, 1978年にBirdらによりピーナツレクチンに凝集するT, Tkに続くPolyaggulutination(以下PA)として報告された. これらは, いずれも細菌感染症によるものであるが, 我が国で発表された症例はいずれも感染症は否定されている. 我々は, 胸部手術創がMRSAに感染しているMDS症例に, Thが出現したので報告する. 症例:昭和53年にMVR, TAP術を受け, その後薬剤治療を受けていた. 平成2年1月, 歯肉出血からPancytopenia, MDSと診断される. 平成3年3月, 上記の再置換術を受けるため入院. 血液型はA2であったが, PAは観察されなかった. 同年9月, 再置換手術後, MRSAによる縦隔炎を併発. 他院に転院し術創の局所療法と抗生剤による全身療法を受けていたが, 改善しないため, 平成4年4月, 創部郭清, 胸骨再固定, 大網充填術を受けるため再入院. 入院時検査において, ピーナツレクチンとの反応からThが判明した. 本症例における血漿輸注の可否, MRSAとPAとの関係など, 種々の検討が必要であった.
ISSN:0546-1448