F-18-fluorodeoxyglucose positron emission tomographyが診断および治療効果判定に有用であった心臓サルコイドーシスの1例

F-18-fluorodeoxyglucose positron emission tomography(以下FDG-PETと略)によって診断およびステロイド内服の治療効果を評価し得た心臓サルコイドーシスの1例を経験したので報告する. 症例は59歳, 女性. 2003年6月11日Adams-Stokes発作を来し, 心電図上完全房室ブロックを認め同日緊急入院となった. 理学的所見では右頸部に1cm大のリンパ節を触知したが, 胸腹部, 皮膚および神経学的所見に異常は認めなかった. 入院後, 心臓カテーテル検査では冠動脈に有意狭窄なく, 左室壁運動は正常であった. 201TIシンチグラフィおよび6...

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Published in心臓 Vol. 37; no. 12; pp. 1018 - 1024
Main Authors 廣瀬英生, 加藤公彦, 加古伸雄, 村井俊介, 吉田哲郎, 矢島和裕, 日比野 剛, 鈴木 理, 渡邊和子, 横井 清
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本心臓財団 15.12.2005
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ISSN0586-4488

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Summary:F-18-fluorodeoxyglucose positron emission tomography(以下FDG-PETと略)によって診断およびステロイド内服の治療効果を評価し得た心臓サルコイドーシスの1例を経験したので報告する. 症例は59歳, 女性. 2003年6月11日Adams-Stokes発作を来し, 心電図上完全房室ブロックを認め同日緊急入院となった. 理学的所見では右頸部に1cm大のリンパ節を触知したが, 胸腹部, 皮膚および神経学的所見に異常は認めなかった. 入院後, 心臓カテーテル検査では冠動脈に有意狭窄なく, 左室壁運動は正常であった. 201TIシンチグラフィおよび67Gaシンチグラフィでは心筋に異常を認めず, 左室心内膜心筋生検では, 心筋は採取されなかった. 眼科にて前房隅角の癒着を指摘され, 頸部リンパ節生検によって非乾酪性肉芽腫性病変が確認された. FDG-PETにおいて上縦隔リンパ節と心臓の中隔および側壁心筋と考えられる部位に高集積像を認め, 以上の所見から心臓サルコイドーシスと診断した. 確定診断後, プレドニゾロンを30mg/日(14日間)から開始し, 20mg(7日間), それ以降を10mg/日と徐々に漸減していった. 治療開始2週間後に頸部の腫大リンパ節の消退を認めたが, 洞調律への回復はなかった. 治療開始後約1ヵ月後, 7ヵ月後, 12ヵ月後にFDG-PETの撮像を行った. 治療前の画像に比較し治療開始1ヵ月後にはリンパ節腫大部位の消失を認め, 約7ヵ月後には心筋の部位に一致した高集積像はほぼ消失した. 本症例において, FDG-PET撮像が心臓サルコイドーシスの診断とステロイド治療の効果判定に有用であると考えられた.
ISSN:0586-4488