術後肝障害の臨床的検討-輸血後肝炎を中心として

輸血後肝炎といっても, 輸血が原因で発生する場合と, 輸血したあと別な原因で発生する場合と区別しなければならない. 例えば手術後では種々の薬剤, ことに抗生物質, 鎮静剤などによる薬剤性肝障害, 場合によっては院内感染による肝炎発生の可能性も考慮する必要がある. 輸血後肝炎にはB型以外の肝炎ウイルスによるものもあり, 輸血前, 後に計画的に血清をプールし, 肝炎発生例では, その血清についての, 抗原抗体系の検索が重要である. また可能な限り肝生検による組織診断が望ましい. 熱帯地域においては, B型肝炎ウィルスの浸淫は, 本邦に比し著明である. 私どもが過去3年間調査したインドネシアでの成績...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 25; no. 3/4; p. 85
Main Authors 小幡裕, 久満董樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.12.1979
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Summary:輸血後肝炎といっても, 輸血が原因で発生する場合と, 輸血したあと別な原因で発生する場合と区別しなければならない. 例えば手術後では種々の薬剤, ことに抗生物質, 鎮静剤などによる薬剤性肝障害, 場合によっては院内感染による肝炎発生の可能性も考慮する必要がある. 輸血後肝炎にはB型以外の肝炎ウイルスによるものもあり, 輸血前, 後に計画的に血清をプールし, 肝炎発生例では, その血清についての, 抗原抗体系の検索が重要である. また可能な限り肝生検による組織診断が望ましい. 熱帯地域においては, B型肝炎ウィルスの浸淫は, 本邦に比し著明である. 私どもが過去3年間調査したインドネシアでの成績では, 一般住民のHBs抗原陽性率は5~6%であった. また肝硬変, 肝がん, など肝疾患の抗原陽性率は本邦例と熱帯地域例と類似しており, 肝炎ウィルスの病因的役割りは同じと考えている. インドネシアでのVertical transmissionについては, 未だこれから調査する予定である.
ISSN:0546-1448