成人集団における根面齲蝕の検出と有病状況の評価
WHOは, 1997年から歯冠と根面の分離診査を採用したが, 国内での適用例は未だ少ない. 本研究では, 岩手県内で実施した40~80歳の成人691名(男性271名, 女性420名)の口腔診査をもとに, 根面齲蝕の評価方法ならびに有病状況を紹介した. 40~49歳, 50~59歳, 60~69歳, 70~79歳および80歳の平均現在歯数は, それぞれ25.2, 20.5, 17.3, 13.4, 5.6歯であった. また, 有歯顎者の根面齲蝕有病者率は, 順に37.9, 41.9, 47.9, 46.0, 60.3%と増加した. 40~79歳における歯根露出の有所見者率は, 各年齢層とも80%...
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Published in | 口腔衛生学会雑誌 Vol. 48; no. 5; p. 711 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本口腔衛生学会
30.10.1998
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Summary: | WHOは, 1997年から歯冠と根面の分離診査を採用したが, 国内での適用例は未だ少ない. 本研究では, 岩手県内で実施した40~80歳の成人691名(男性271名, 女性420名)の口腔診査をもとに, 根面齲蝕の評価方法ならびに有病状況を紹介した. 40~49歳, 50~59歳, 60~69歳, 70~79歳および80歳の平均現在歯数は, それぞれ25.2, 20.5, 17.3, 13.4, 5.6歯であった. また, 有歯顎者の根面齲蝕有病者率は, 順に37.9, 41.9, 47.9, 46.0, 60.3%と増加した. 40~79歳における歯根露出の有所見者率は, 各年齢層とも80%以上で, 平均歯根露出歯数は5.5~7.5歯に達し, 根面齲蝕罹患リスクの高さが確かめられた. 1人平均の根面齲蝕歯数(未処置+処置)は各年齢層とも0.7~1.0歯の範囲であったが, 進行性齲蝕を認める歯根数は年齢とともに漸増傾向を示した. 根面齲蝕の評価については, 根面特有の問題として, 特に修復根面の扱いや齲蝕原発部位の判定などが診断精度とデータの信頼性に強く影響することが指摘され, 診断の規格化に向けて学会レベルでの検討が必要と考えられた. |
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ISSN: | 0023-2831 |