過去10回の大分国際車イスマラソン大会における医学調査
【緒言】 1981年に始まった標記大会は, 昨年で10回を数えた. 演者らはこの間の(1)出場者の変遷, (2)未完走者について, (3)7~10大会中に発生した外傷および疾患, についてまとめた. 【対象と方法】 正確な記録が入手できた1,981名(男性1,828名, 女性153名)について出場記録, アンケートおよび問診により調査した. 【結果】 (1)参加選手数は増加してきており, 延べ選手数は2,127名(平均年齢34歳, 50歳以上を5.5%含む)に達した. 原疾患は外傷性脊髄損傷が70%を占め, 以下ポリオ, 脳性麻痺, 切断と続く. (2)10回を通じての未完走者総数は180名(...
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Published in | リハビリテーション医学 Vol. 28; no. 12; p. 1102 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本リハビリテーション医学会
01.12.1991
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ISSN | 0034-351X |
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Summary: | 【緒言】 1981年に始まった標記大会は, 昨年で10回を数えた. 演者らはこの間の(1)出場者の変遷, (2)未完走者について, (3)7~10大会中に発生した外傷および疾患, についてまとめた. 【対象と方法】 正確な記録が入手できた1,981名(男性1,828名, 女性153名)について出場記録, アンケートおよび問診により調査した. 【結果】 (1)参加選手数は増加してきており, 延べ選手数は2,127名(平均年齢34歳, 50歳以上を5.5%含む)に達した. 原疾患は外傷性脊髄損傷が70%を占め, 以下ポリオ, 脳性麻痺, 切断と続く. (2)10回を通じての未完走者総数は180名(8.5%)で, 原疾患別では, 脳性麻痺選手の37.9%が未完走で高い数字を示した. 未完走原因は, 規定時間超過58.8%, 車イストラブル(パンク等)19.4%, 転倒10.0%, 気分不良2.7%, その他8.9%であった. (3)7~10回大会中に病院搬送を要した者は15名(1.2%)であったが, いずれも軽症で入院を要したものはいなかった. 【結語】 現在まで重症外傷, 疾患の発生はなく, 車イスマラソンは安全面からも奨励すべきスポーツといえる. 他方, 参加者の増加, 高齢化, 未完走率の高い原疾患の存在など, 対応すべき問題も露見してきた. われわれは今後も医学的側面より本大会を支援し, 安全性の向上および未完走者の減少に寄与していきたい. <質疑応答> 田島文博(産業医大):健常者のマラソンでしばしば問題となる熱射病の発生は練習を含めありますか. 中村英次郎:7~10回大会に限って申し上げますと, 熱射病の発生は特に認めておりません. 中川一彦(筑波大):CP者に途中リタイア者が多く, また, 規定時間オーバーが途中リタイアの因子のようであるが, CP者の出場は, その多くがフルマラソンですか, ハーフマラソンですか. |
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ISSN: | 0034-351X |