バリウム速崩錠を用いた錠剤の嚥下造影検査

今回我々は咽頭などに残留した際にも容易に溶けるバリウム速崩錠を作製し, 錠剤の嚥下を評価したので報告する. 「速崩錠」エルメッドエーザイの協力を得てバリウム速崩錠を院内で作製した. 速崩錠の処方は一錠にBarium Sulfate 170mg,D-Mannitol 166.6mg,Polyvinyl Pyrrolidone K-303.4mgで総重量は340mg, 形状は直径8.99mm, 厚さ3.38mmの柱状である. in vitroの溶解試験では平均30秒で溶解した. 「方法と対象」嚥下障害患者20名に検査の意味を十分説明し同意を得て嚥下造影を施行. 「結果」安全に嚥下10人, 残留:梨...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 37; no. 1; p. 70
Main Authors 藤島一郎, 大熊るり, 水口文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.01.2000
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ISSN0034-351X

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Summary:今回我々は咽頭などに残留した際にも容易に溶けるバリウム速崩錠を作製し, 錠剤の嚥下を評価したので報告する. 「速崩錠」エルメッドエーザイの協力を得てバリウム速崩錠を院内で作製した. 速崩錠の処方は一錠にBarium Sulfate 170mg,D-Mannitol 166.6mg,Polyvinyl Pyrrolidone K-303.4mgで総重量は340mg, 形状は直径8.99mm, 厚さ3.38mmの柱状である. in vitroの溶解試験では平均30秒で溶解した. 「方法と対象」嚥下障害患者20名に検査の意味を十分説明し同意を得て嚥下造影を施行. 「結果」安全に嚥下10人, 残留:梨状窩2人, 喉頭蓋谷4人, 食道1人, 口腔内で溶解3人. 「考察」錠剤が咽頭に残留する頻度は高いので, 的確な評価と指導が必要である. バリウムをそのまま固めた錠剤は硬い石と同じ性状を示し, 残留したり誤嚥した場合に長期間生体内に残存してしまう. 今回作成した速崩錠を用いて検査を行えば残留した際にも短時間で溶解するため危険は少ないと思われる.
ISSN:0034-351X