対麻痺ラットモデルにおける骨強度
「目的」脊髄損傷後の麻痺肢における骨粗鬆症の進行は極めて急速・高度であり, 易骨折にもつながる大きな問題である. 慢性期脊損患者の骨折が大腿骨顆上部に最も多いことが過去に報告されている. 今回, 対麻痺ラットモデルにおける骨強度測定を行い, 大腿骨遠位部を含む多部位での骨強度変化を比較した. 「方法」生後70日のSuprague-Dawley雄ラットを無作為に脊損群と対照群に分け, 麻酔下に第9胸椎椎弓切除および脊髄切断を施行した. 対照群には椎弓切除と脊髄切断以外は同様の操作を施行した. 手術後0,8,24週に脊損群と対照群をそれぞれ屠殺し, 両側上腕骨, 大腿骨, 脛骨を摘出した. 骨強度...
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Published in | リハビリテーション医学 Vol. 35; no. 11; pp. 782 - 783 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本リハビリテーション医学会
18.11.1998
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ISSN | 0034-351X |
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Summary: | 「目的」脊髄損傷後の麻痺肢における骨粗鬆症の進行は極めて急速・高度であり, 易骨折にもつながる大きな問題である. 慢性期脊損患者の骨折が大腿骨顆上部に最も多いことが過去に報告されている. 今回, 対麻痺ラットモデルにおける骨強度測定を行い, 大腿骨遠位部を含む多部位での骨強度変化を比較した. 「方法」生後70日のSuprague-Dawley雄ラットを無作為に脊損群と対照群に分け, 麻酔下に第9胸椎椎弓切除および脊髄切断を施行した. 対照群には椎弓切除と脊髄切断以外は同様の操作を施行した. 手術後0,8,24週に脊損群と対照群をそれぞれ屠殺し, 両側上腕骨, 大腿骨, 脛骨を摘出した. 骨強度測定は上腕骨骨幹, 大腿骨骨幹, 脛骨骨幹の捻り試験, 大腿骨頸部の曲げ試験, 大腿骨遠位端と脛骨近位端の5mm切り出し片の圧縮試験をElectrohydraulic Materials Testing Machineを用いて施行した. 「結果」上腕骨骨幹について, 0,8,24週のいずれも脊損群と対照群の間に差は認められなかった. 術後8週では全ての部位で脊損群と対照群の間に有意な差は認められなかった. 手術後24週の脊損群の上腕骨骨幹, 大腿骨骨幹, 脛骨骨幹, 大腿骨頸部, 大腿骨遠位端, 脛骨近位端の対照群に対する骨強度は, それぞれ106%, 65%, 63%, 75%, 51%, 50%で有意差を認め, 大腿骨遠位端, 脛骨近位端が最も低かった. 「考察」慢性期脊損患者の大腿骨顆上骨折の多発に, 大腿骨遠位部の骨強度低下が大きく関与していることが示唆された. |
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ISSN: | 0034-351X |