献血者におけるTTV陽性頻度と生化学的肝機能値の変動

【目的】肝炎関連ウイルスとして新たに報告されたTTVについて献血者の陽性頻度を調査し, TTV陽性者は献血歴よリ肝機能値の変動について調査検討したので報告する. 【材料と方法】HBV, HCVマーカー陰性でALT≦451U/Lの献血者581例, 同じくALT≧611U/Lの496例を対象とした. この中, TTV陽性者についてはH7.4.1よりH10.8.31までの期間中に複数回の献血歴のある例についてALT値の変動を調べた. 献血毎にALT値が45IU/L以上を示す例をALT高値持続例, 標準値と異常値間の変動をALT変動例とした. 肥満度はBMIを用い, 有意差検定はχ^2 検定で行った....

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 45; no. 2; p. 205
Main Authors 吉山里美, 伊藤八重子, 水津恵子, 藤村邦子, 松尾美千栄, 伊藤圭一, 平川和也, 真弓忠
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.04.1999
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Summary:【目的】肝炎関連ウイルスとして新たに報告されたTTVについて献血者の陽性頻度を調査し, TTV陽性者は献血歴よリ肝機能値の変動について調査検討したので報告する. 【材料と方法】HBV, HCVマーカー陰性でALT≦451U/Lの献血者581例, 同じくALT≧611U/Lの496例を対象とした. この中, TTV陽性者についてはH7.4.1よりH10.8.31までの期間中に複数回の献血歴のある例についてALT値の変動を調べた. 献血毎にALT値が45IU/L以上を示す例をALT高値持続例, 標準値と異常値間の変動をALT変動例とした. 肥満度はBMIを用い, 有意差検定はχ^2 検定で行った. 【成績】ALT≦45IU/Lの献血者581例中, TTV陽性例は91例(16%), ALT≧61IU/Lの496例中の陽性例は122例(25%)でALT異常値群が有意に高い頻度を示した. (p<0.01)ALT標準値群の581例中, 複数回献血例は428例であった. この中でTTV陽性例は65例(15%)で観察期間内にALT値に変動を示した例は2例のみであった. 採血間隔は5±5月であった. 一方, ALT異常値群496例中の複数回献血例は364例で非肥満群194例, 肥満群170例であった. 非肥満群194例中のALT高値持続例は69例でTTV陽性は22例(32%), ALT変動例は125例でTTV陽性は26例(21%)とTTV陽性はALT高値持続例で高い頻度であった. 肥満群170例中のALT高値持続例は99例でTTV陽性例は39例(39%), ALT変動例は71例でTTV陽性は13例(18%)とTTV陽性はALT高値持続例に有意に高い頻度を示した. (p<0.01)採血間隔は各々8±4月, 7±4月であった. 【まとめ】TTV陽性頻度をALT標準値群とALT異常値群でみると後者で有意に高い頻度を示し肝障害への関連が推測された. また, ALT値の経過観察では, ALT異常値群は肥満度に関係なくALT高値持続例の中に高い頻度でTTVが認められた.
ISSN:0546-1448