当科における小児の上顎前歯部埋伏過剰歯の臨床統計学的検討

今回, 演者らは, 当科において1982年より1990年までの9年間に経験した小児の上顎前歯部埋伏過剰歯の149例を対象として臨床統計学的検討を行い, 若干の知見を得たので, その概要を報告した. 性別発生頻度は男児125例(83.9%), 女児24例(16.1%)で男児に多くみられ, 年齢別では, 8歳代35例(23.5%)で最も多く, 次いで7歳代34例(22.8%), 9歳代24例(16.1%)で, 7~9歳代が全体の過半数を占めていた. 埋伏過剰歯数は, 1歯の症例が94例(63.1%), 2歯の症例が30例(20.1%), 萌出過剰歯1歯と埋伏過剰歯1歯の症例が25例(16.8%)で...

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Published in小児口腔外科 Vol. 2; no. 1; pp. 94 - 95
Main Authors 古谷明彦, 永峰浩一郎, 広井恵美, 渡辺徹, 加藤義浩, 平安山久仁子, 稲田雅仁, 龍田恒康, 中西徹, 山嵜康之, 沖津光久, 竹島浩, 島崎貴弘, 阪本栄一, 嶋田淳, 山本美朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本小児口腔外科学会 01.05.1992
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ISSN0917-5261

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Summary:今回, 演者らは, 当科において1982年より1990年までの9年間に経験した小児の上顎前歯部埋伏過剰歯の149例を対象として臨床統計学的検討を行い, 若干の知見を得たので, その概要を報告した. 性別発生頻度は男児125例(83.9%), 女児24例(16.1%)で男児に多くみられ, 年齢別では, 8歳代35例(23.5%)で最も多く, 次いで7歳代34例(22.8%), 9歳代24例(16.1%)で, 7~9歳代が全体の過半数を占めていた. 埋伏過剰歯数は, 1歯の症例が94例(63.1%), 2歯の症例が30例(20.1%), 萌出過剰歯1歯と埋伏過剰歯1歯の症例が25例(16.8%)であった. 小児の上顎前歯部埋伏過剰歯の処置に際しては, 対象が隣接組織の未熟な時期であり, また精神心理学的見地からも埋伏歯の位置, 形態, 及び周囲組織との関係を正確に把握することが, 手術侵襲を最小限にとどめるために重要である. そのため, X線撮影法も複数の組み合わせが必要となる. 位置確定には, 二等分撮影法, 上顎咬合法, オルソパントモグラム等で明らかにされた埋伏過剰歯の近遠心的位置に合わせた矢状面断層撮影法が有用であった. 過剰歯の抜歯に対する考え方は, 大きく3つに分けられる. 第一は, 障害がなければ抜歯せず, 第二は, 発見次第あるいは可及的早期に抜歯する, そして, 第三は, 永久歯の歯根形成を待って抜歯する, との考え方である. われわれは, 小児の場合, その発生を予防できない過剰歯が永久歯列に障害を与える可能性がある以上, 抜歯操作により永久歯に障害が及ばない範囲で, 発見次第あるいは可及的早期に抜歯する治療方針をとっている. それによって, 一時的合併症を認めた症例は8.3%にすぎない. よって, 発見時より抜歯を前提に経過観察を行い, 個人差を考慮して心理的に耐え得る年齢で, 抜歯を施行してさしつかえないと考える.
ISSN:0917-5261