血友病類似疾患に対するDDAVPの凝血学的効果について

血友病類似疾患の出血傾向に対して, 今迄は血液製剤による補充療法が必須のものであった. 従ってこれに伴う副作用として輸血後肝炎, 最近ではAIDSが問題とされるに到った. 加熱処理第VIII因子製剤等も開発されて来たが, 補充療法に代るものとして, 血管内皮細胞より第VIII因子を遊離させるDDAVP(1-Deamino-8-D-Arginine-Vasopressin)による治療が期待を集めている. 我々も血友病類似疾患4例に対する投与時の凝血学的変動を中心に, その成績を報告する. DDAVP0.2~0.4μg/kgの1回投与で軽症血友病AではVIII:Cは2~3倍の上昇を認め, 1回投与...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 33; no. 1; p. 76
Main Authors 高井豊, 林久智, 津田隆史, 鶴見尚和, 木村郁郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 1987
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Summary:血友病類似疾患の出血傾向に対して, 今迄は血液製剤による補充療法が必須のものであった. 従ってこれに伴う副作用として輸血後肝炎, 最近ではAIDSが問題とされるに到った. 加熱処理第VIII因子製剤等も開発されて来たが, 補充療法に代るものとして, 血管内皮細胞より第VIII因子を遊離させるDDAVP(1-Deamino-8-D-Arginine-Vasopressin)による治療が期待を集めている. 我々も血友病類似疾患4例に対する投与時の凝血学的変動を中心に, その成績を報告する. DDAVP0.2~0.4μg/kgの1回投与で軽症血友病AではVIII:Cは2~3倍の上昇を認め, 1回投与で抜歯術が施行可能であった. von Willebrand病では出血時間の改善, VIII:CとRistocetin cofactorの2~3倍の上昇が認められた. 内因性第VIII因子の放出による止血改善であり, 頻回投与による止血効果については若干の問題があるが, 症例を限定すれば, 投与中止しなければならない程の副作用もなく, 有効な薬剤と考えられた.
ISSN:0546-1448