下行大動脈にPenetrating atherosclerotic ulcerを認めた脳梗塞の一例

Penetrating atherosclerotic ulcer(穿孔性動脈硬化性潰瘍:以下PAU)は, 1986年にStansonら11)によって提唱された大動脈病変である. その概念は「血管壁の潰瘍を伴う動脈硬化病変の中で, 潰瘍が内弾性板を穿破し中膜に至ったもの」とされている. 今回, 我々は脳梗塞患者で塞栓源検索中に偶然発見したPAUと思われる下行大動脈隆起性病変を経験した. 現在までにPAUと脳血管障害との合併例は報告されておらず, またPAUの自然歴を画像的に追跡しえた報告例もなく, 貴重な症例と考えられたので, ここに報告する. 症例 81歳, 右利き女性. 70歳代から高血圧...

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Published inNeurosonology Vol. 14; no. 3/4; pp. 105 - 108
Main Authors 山村修, 三好義光, 平木誠一, 小野博美, 大滝秀穂, 木ノ本景子, 藤山二郎, 栗山勝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経超音波学会 15.12.2001
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ISSN0917-074X

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Summary:Penetrating atherosclerotic ulcer(穿孔性動脈硬化性潰瘍:以下PAU)は, 1986年にStansonら11)によって提唱された大動脈病変である. その概念は「血管壁の潰瘍を伴う動脈硬化病変の中で, 潰瘍が内弾性板を穿破し中膜に至ったもの」とされている. 今回, 我々は脳梗塞患者で塞栓源検索中に偶然発見したPAUと思われる下行大動脈隆起性病変を経験した. 現在までにPAUと脳血管障害との合併例は報告されておらず, またPAUの自然歴を画像的に追跡しえた報告例もなく, 貴重な症例と考えられたので, ここに報告する. 症例 81歳, 右利き女性. 70歳代から高血圧, 高脂血症を指摘され, 内服加療を受けていた. 平成11年8月上旬(80歳)に誘因なく左背部痛を自覚したが, 外来通院を続け約半月で自然軽快した. 翌12年1月7日朝より言葉が出にくいことに気付き, 当院外来を受診した. 入院時, 一般理学所見に異常なく, 神経学的には超皮質性運動失語を認めたが, 脳神経, 四肢運動, 知覚, 反射, 協調運動には異常を認めなかった.
ISSN:0917-074X