腰椎椎間板ヘルニア保存療法例の症状経過とMRI所見について

【目的】保存療法を行った腰椎椎間板ヘルニア症例の, 症状経過と腰椎MRI所見とを比較して, MRI所見から保存療法の予後の予測が可能か否かを検討した. 【方法】1988年6月~1991年12月の間に, 演者らの施設に入院して骨盤持続牽引を施行した腰椎椎間板ヘルニア症例110名の, 牽引療法終了時の症状を, 日本整形外科学会腰痛治療成績判定基準の自・他覚症状(15点満点)で評価した. 軽快退院した81名に対しては, 平均4年6カ月経過した現時点での, 腰痛および下肢症状の有無, ADL障害の程度, 就労状況などを, 郵送によるアンケートで調査した. MRI所見は, 矢状断像と横断像をヘルニアの位...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 32; no. 11; pp. 742 - 743
Main Authors 橋本俊英, 宇田川英一, 大宜見綱夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.11.1995
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ISSN0034-351X

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Summary:【目的】保存療法を行った腰椎椎間板ヘルニア症例の, 症状経過と腰椎MRI所見とを比較して, MRI所見から保存療法の予後の予測が可能か否かを検討した. 【方法】1988年6月~1991年12月の間に, 演者らの施設に入院して骨盤持続牽引を施行した腰椎椎間板ヘルニア症例110名の, 牽引療法終了時の症状を, 日本整形外科学会腰痛治療成績判定基準の自・他覚症状(15点満点)で評価した. 軽快退院した81名に対しては, 平均4年6カ月経過した現時点での, 腰痛および下肢症状の有無, ADL障害の程度, 就労状況などを, 郵送によるアンケートで調査した. MRI所見は, 矢状断像と横断像をヘルニアの位置と形態により分類して, 症状の経過と比較検討した. 【結果】牽引療法終了時の成績は, 著軽快36名, 軽快45名, 不変29名であった. MRI所見では, 横断像で神経根部のヘルニアと, 硬膜管矢状径1/3以上のヘルニアで, 軽快群の割合が少なかった. 軽快退院した81名に対するアンケート調査では, 55名から回答を得て, 優19名, 良15名, 可14名, 不可7名であった. 症状残存例はL 5/S 1ヘルニアに多いが, 軽快退院後の症状経過とMRI分類との関連は認められなかった. 【結論】MRIによるヘルニアの形態分類は, 保存療法の症状経過と有意の関連を認めたが, 予後予測因子としてはいまだ不十分で, さらに検討を要する.
ISSN:0034-351X