上大静脈頻拍がドライバーであった発作性心房細動の1例

症例:基礎心疾患のない64歳,男性.薬剤抵抗性の心房頻拍(atrial tachycardia;AT),心房細動(atrial fibrillation;Af)発作をくりかえし入院した.左右上肺静脈,上大静脈(superior vena cava;SVC)に全周囲電位のマッピングを行い,頻拍のトリガーとなる興奮はSVC起源と判明した.SVC-右房接合部に焼灼を行い,SVC隔離と同時にAfは停止した.隔離後のSVC内にはSVC細動が持続して起こった.肺静脈の隔離は行わなかった.治療後,Af発作は予防された.本症例はSVCがAT,細動のトリガーおよび維持のドライバーとなっていた.また,通電でAfは...

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Published in心臓 Vol. 39; no. 5; pp. 477 - 483
Main Authors 南部忠詞, 筒井裕之, 飯田啓太, 大友 潔, 永田恭敏, 鵜野起久也, 家坂義人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本心臓財団 15.05.2007
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ISSN0586-4488

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Summary:症例:基礎心疾患のない64歳,男性.薬剤抵抗性の心房頻拍(atrial tachycardia;AT),心房細動(atrial fibrillation;Af)発作をくりかえし入院した.左右上肺静脈,上大静脈(superior vena cava;SVC)に全周囲電位のマッピングを行い,頻拍のトリガーとなる興奮はSVC起源と判明した.SVC-右房接合部に焼灼を行い,SVC隔離と同時にAfは停止した.隔離後のSVC内にはSVC細動が持続して起こった.肺静脈の隔離は行わなかった.治療後,Af発作は予防された.本症例はSVCがAT,細動のトリガーおよび維持のドライバーとなっていた.また,通電でAfは停止したものの,SVCという限局した範囲での細動の再発が確認され,本症例はSVCがAfの基質を有していると考えられた.Afの成立機序の解明に,トリガー,メインテナンスのドライバーを明確にすることは重要である.本症例はSVCが単独でそれらを担っており,成立機序の理解の点で大変興味深いと考えられた.
ISSN:0586-4488