En(a-)型(主要シアロ糖タンパク質欠損)赤血球膜の生化学的性状
I. 目的:En(a-)型の赤血球は, 赤血球膜の主要なシアロ糖タンパク質の中でGlycophorin Aの欠損または減少がみられる. 宮田らは第36回輸血学会総会において, 日本人第1例目のEn(a-)型赤血球を見出したことを報告した. 今回は, En(a-)型赤血球の膜の生化学的性状について検討を行ったので報告する. II. 方法:血液型活性は定量的凝集法を用いて測定した. 赤血球膜の各種糖含量は, 膜を3N塩酸で加水分解した後Gas chromatographyを用いて分析した. 膜のSialic acid含量はPeriodate-resorcinol反応により測定した. 赤血球膜のレク...
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Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 36; no. 2; p. 360 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本輸血学会
01.05.1990
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ISSN | 0546-1448 |
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Summary: | I. 目的:En(a-)型の赤血球は, 赤血球膜の主要なシアロ糖タンパク質の中でGlycophorin Aの欠損または減少がみられる. 宮田らは第36回輸血学会総会において, 日本人第1例目のEn(a-)型赤血球を見出したことを報告した. 今回は, En(a-)型赤血球の膜の生化学的性状について検討を行ったので報告する. II. 方法:血液型活性は定量的凝集法を用いて測定した. 赤血球膜の各種糖含量は, 膜を3N塩酸で加水分解した後Gas chromatographyを用いて分析した. 膜のSialic acid含量はPeriodate-resorcinol反応により測定した. 赤血球膜のレクチンリセプター数の解析は, Chloramine T法でレクチン類をヨード標識したものを用いて, 演者らの報告1)した方法によって行った. III. 結果と考察:En(a-)型赤血球はM型活性を殆ど示さず, Monoclonal抗N血清とナンテンハギ抗Nレクチンに対して弱い凝集活性を示した. En(a-)型赤血球膜とOMN型の正常赤血球膜について各種糖含量を比較すると, Sialic acid, Glucose, Hannose, Galactose, Fucoseなどの含有量は前者の方が後者よりも低く, N-acetylglucosamine, N-acetylgalactosamineの含有量は前者の方が後者よりも高かった. アジアロ化したEn(a-)型赤血球とOMN型赤血球に対するヨード標識したピーナッツ(PNA)レクチンの結合性を比較すると, En(a-)型赤血球はOMN型赤血球よりもPNAとの結合性が低かった. カブトガニ血清, 小麦胚芽およびモクワンジュマメなどのレクチン類に対する赤血球膜のリセプター数は, いずれもEn(a-)型赤血球の方がOMN型赤血球よりも少なかった. これらレクチンリセプターの解析結果は, SDS-PAGEでのEn(a-)型赤血球膜の主要シアロ糖タンパク質の欠損を反映している. 現在, OMN型赤血球膜とEn(a-)型赤血球膜からLis-Phenol法によりGlycophorin類を抽出し, それらの生化学的性質について比較検討中である. IV. 文献:1)Shinozuka, T. et al. , Blut, 57, 117, 1988. |
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ISSN: | 0546-1448 |