重度重複障害者の呼吸に関する研究(8)気管切開術後のQOL:アンケート調査から

重度重複障害者の呼吸障害に対し施行された気管切開術(以下, 気切)の術後の状態を, ケアにあたる家族らがどう評価しているかを知るため, 両親あるいは, 主たる介護者にアンケート調査を行った. 【対象】当院に外来通院あるいは入院している患者で, 気切を行っている重度重複障害者27名(男性15名, 女性12名). 在宅の患者は10名. 気切の方式は, 単純気切15名, 声門閉鎖2名, 喉頭全摘2名, 喉頭気管分離術8名である. 調査項目は, 全身状態, 日常動作, 生活の広がりに分類, 術前と比べ現在の状態がどうか, 改善, 不変, 悪化の3段階評価とした. 回収率は100%. 【結果】1)全身状...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 30; no. 11; pp. 807 - 808
Main Authors 長博雪, 舟橋満寿子, 許斐博史, 松尾多希子, 鈴木康之, 工藤英昭, 堀口利之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 01.11.1993
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ISSN0034-351X

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Summary:重度重複障害者の呼吸障害に対し施行された気管切開術(以下, 気切)の術後の状態を, ケアにあたる家族らがどう評価しているかを知るため, 両親あるいは, 主たる介護者にアンケート調査を行った. 【対象】当院に外来通院あるいは入院している患者で, 気切を行っている重度重複障害者27名(男性15名, 女性12名). 在宅の患者は10名. 気切の方式は, 単純気切15名, 声門閉鎖2名, 喉頭全摘2名, 喉頭気管分離術8名である. 調査項目は, 全身状態, 日常動作, 生活の広がりに分類, 術前と比べ現在の状態がどうか, 改善, 不変, 悪化の3段階評価とした. 回収率は100%. 【結果】1)全身状態:食欲(注入栄養の場合は胃残の多少), 体重, 嘔吐, 呼吸状態, 睡眠の状態に関しては, 「改善」という認識の者が多い. 2)日常動作:食事, 洗面, 排泄, 入浴, 着脱に関しては, 判断がほぼ同数ずつ. 3)生活の広がり:意欲に関しては, 不変or改善が多い. 外出では, 悪化, 改善, 不変の症例が同率に存在. 4)周囲への負担:夜間のケア, 気切後の吸引や加湿など, 新たな負担や経済的負担の増加が認識. 【考察】重度重複障害者の気切では, 呼吸障害などの全身状態は改善されるが, 日常生活動作や周囲の負担の面では不満足. QOLの改善に向け, 術前にメリット, デメリットを十分検討し施行する必要. また負担増に対するソフト面での改善が必要と考える.
ISSN:0034-351X