Ca^++ 拮抗薬のVerapamilのVA/Q分布に対する影響

心肺脳蘇生中に各種Ca^++ 拮抗薬を使用するが, その肺循環への影響についての知見は少ない. とくに低酸素性肺血管攣縮(HPVC)に及ぼす効果は心肺脳蘇生にとって重要な問題である. 今回われわれは, 低酸素状態でCa^++ 拮抗薬verapamil心肺系, とくに肺内換気血流比(VA/Q)分布にどのような影響を与えるかを検討したので報告する. 方法は雑種犬をペントバルビタールで麻酔しアルクロニウムを用い気管内挿管した. 6種の不活性ガスを5%グルコースに溶解し点滴静注し安定するのを待って動脈血, 混合静脈血, 呼気中の6種不活性ガスをガスクロマトグラフで分析し, Wagner法でVA/Q分布...

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Published in蘇生 Vol. 6; p. 107
Main Authors 中川真理, 橋本宇, 奥田真弘, 栗岡孝明, 小西邦彦, 宗行万之助
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本蘇生学会 01.05.1988
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ISSN0288-4348

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Summary:心肺脳蘇生中に各種Ca^++ 拮抗薬を使用するが, その肺循環への影響についての知見は少ない. とくに低酸素性肺血管攣縮(HPVC)に及ぼす効果は心肺脳蘇生にとって重要な問題である. 今回われわれは, 低酸素状態でCa^++ 拮抗薬verapamil心肺系, とくに肺内換気血流比(VA/Q)分布にどのような影響を与えるかを検討したので報告する. 方法は雑種犬をペントバルビタールで麻酔しアルクロニウムを用い気管内挿管した. 6種の不活性ガスを5%グルコースに溶解し点滴静注し安定するのを待って動脈血, 混合静脈血, 呼気中の6種不活性ガスをガスクロマトグラフで分析し, Wagner法でVA/Q分布分析を行った. その後, 歯科用印象材にて気管支をブロックし低酸素状態にして同様に寸VA/Q分析をした. 低酸素状態で, さらにverapamilを投与した後のVA/Q分布の変化を調べた. ControlではVA/Q分布は血流, 換気ともにVA/Q1付近に集中し, 動脈血ガス分析も良好であったが, ブロック後VA/Qの低い所やtrue shuntの部分に血流が出現した. その結果, 動脈血酸素分圧は低下した. verapamilを投与するとVA/Q分布はさらに不均衡パターンを増したが, 動脈圧酸素分圧は必ずしも低下しなかった. このような場合, verapamil投与後CIが著明に上昇していることから, 肺内ではverapamilはVA/Q不均衡パターンを拡大させるが, 全体としては心拍出量が増大するなどの効果により動脈血酸素分圧の低下が防止されている可能性があると考える. 以上のことより臨床においてverapamilを投与する際, CI上昇が期待できない症例では, Pa_O2 が低下する危険性が高く注意が必要であると思われる.
ISSN:0288-4348