当院におけるH.influenzaeのアンピシリン耐性菌の検出状況について

目的:近年, Haemophilus influenzaeにおいてアンピシリン(ABPC)耐性株が増加傾向にあり問題となっている. 今回われわれは, β‐ラクタマーゼ非産生ABPC耐性菌(BLNAR), β‐ラクタマーゼ産生ABPC耐性菌(BLPAR), β‐ラクタマーゼ産生アモキシシリン/クラブラン酸(AMPC/CVA)耐性菌(BLPACR)の検出状況を調査したので報告する. 対象および方法:2002年4月から2003年3月にかけて各種検査材料より分離されたH. influenzae291株を対象とした. 薬剤感受性試験は, MICroFAST4Jパネル(DADE社)を用いて微量液体希釈法に...

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Published inJournal of Nippon Medical School Vol. 70; no. 6; p. 617
Main Authors 大崎恵理子, 柳下照子, 原口友子, 岡本直人, 飯野幸永
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 15.12.2003
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ISSN1345-4676

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Summary:目的:近年, Haemophilus influenzaeにおいてアンピシリン(ABPC)耐性株が増加傾向にあり問題となっている. 今回われわれは, β‐ラクタマーゼ非産生ABPC耐性菌(BLNAR), β‐ラクタマーゼ産生ABPC耐性菌(BLPAR), β‐ラクタマーゼ産生アモキシシリン/クラブラン酸(AMPC/CVA)耐性菌(BLPACR)の検出状況を調査したので報告する. 対象および方法:2002年4月から2003年3月にかけて各種検査材料より分離されたH. influenzae291株を対象とした. 薬剤感受性試験は, MICroFAST4Jパネル(DADE社)を用いて微量液体希釈法によりMIC値を測定し, β‐ラクタマーゼは, ニトロセフィン法によるセフィナーゼディスク(BD社)で産生の有無を検査した. 結果:291株中β‐ラクタマーゼ非産生ABPC感受性菌(BLNAS)204株(70%), BLNAR62株(21%), BLPAR23株(8%), BLPACR2株(1%)であった. 考察:H. influenzaeにおいて, 現在みられるABPC耐性のほとんどはβ‐ラクタマーゼによるものと考えられている. しかし当院では, NCCLSの基準に準拠するBLNARは21%であった. また, BLPACRも検出され, 昨年(BLNAR12%)に比べこれら耐性菌の増加が認められることから一層の注意が必要であると思われた.
ISSN:1345-4676