末梢血幹細胞採取のための指標としての末梢血CD34陽性細胞測定の有用性

目的:末梢血幹細胞の採取至適時期の予測には, 白血球数や血小板数, 骨髄球の出現など血液学的指標が用いられている. しかし, これらの指標をもっても採取時期の予測が困難な場合も少なくない. そこで, 末梢血でのCD34陽性細胞数について, 末梢血幹細胞採取のための指標としての有用性について検討した. 対象と方法:12例の患者に施行した延べ21回の幹細胞採取を対象とした. 採取は, AS-104(Fresenius社)を用いて毎回101の血液を処理した. CD34の測定には, CD34抗体(Coulter社)とCD45抗体(Pharmingen社)を用いてFACScan(Becton Dicki...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 45; no. 1; p. 43
Main Authors 三島清司, 陶山洋二, 岩田由守, 石倉浩人, 益田順一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.02.1999
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:目的:末梢血幹細胞の採取至適時期の予測には, 白血球数や血小板数, 骨髄球の出現など血液学的指標が用いられている. しかし, これらの指標をもっても採取時期の予測が困難な場合も少なくない. そこで, 末梢血でのCD34陽性細胞数について, 末梢血幹細胞採取のための指標としての有用性について検討した. 対象と方法:12例の患者に施行した延べ21回の幹細胞採取を対象とした. 採取は, AS-104(Fresenius社)を用いて毎回101の血液を処理した. CD34の測定には, CD34抗体(Coulter社)とCD45抗体(Pharmingen社)を用いてFACScan(Becton Dickinson社)で測定した. 結果と考察:CD34とCD45の二重染色を実施することにより従来の方法に比べCD34陽性細胞の集団がより明瞭となった. また, CD45を用いることにより白血球を的確に把握できるためより正確な陽性率を求めることができた. しかし, 幹細胞はCD45弱陽性のため, 域値の線引きの際に除去される可能性も指摘されている. 今後は核染色剤をさらに組合わせるなどの工夫が必要と考える. 採取したCD34陽性細胞数は, 末梢血のCD34絶対数(r=0.50)よりは陽性率(r=0.89)と高い相関が認められた. CD34測定の有用性が確認された. 結語:CD34の測定にCD45との二重染色を実施することによって精度, 正確度共に向上させることができた. また, 末梢血幹細胞の採取至適時期の予測には末梢血のCD34陽性率を経時的に測定することが最も有用と考えられた.
ISSN:0546-1448