第1児が抗HLA抗体による新生児血小板減少症であった第2児の検査所見と臨床症状
昨年の本学会演題149で報告した抗HLA抗体による新生児血小板減少症(NAITP)の次の児が出生した. 症例:症例の母は1988年5月, 初妊第1児を出産したが, この児は抗HLA抗体が関与している可能性がつよいNAITPと考えられ, 昨年の本学会で報告した. 母は輸血歴なく, 赤血球不規則性抗体陰性, 血小板数正常で, 第2児の妊娠26週より切迫早産のため子宮筋弛緩剤の投与を受けているが, 他の薬剤投与は受けていない. 第2児の妊娠初期より抗HLA抗体は陽性であったが, 妊娠35週における母血清と父リンパ球との交差試験ではLCT2倍, AHG-LCT8倍(第1児分娩時はそれぞれ4倍, 8倍)...
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Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 36; no. 2; p. 373 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本輸血学会
01.05.1990
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ISSN | 0546-1448 |
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Summary: | 昨年の本学会演題149で報告した抗HLA抗体による新生児血小板減少症(NAITP)の次の児が出生した. 症例:症例の母は1988年5月, 初妊第1児を出産したが, この児は抗HLA抗体が関与している可能性がつよいNAITPと考えられ, 昨年の本学会で報告した. 母は輸血歴なく, 赤血球不規則性抗体陰性, 血小板数正常で, 第2児の妊娠26週より切迫早産のため子宮筋弛緩剤の投与を受けているが, 他の薬剤投与は受けていない. 第2児の妊娠初期より抗HLA抗体は陽性であったが, 妊娠35週における母血清と父リンパ球との交差試験ではLCT2倍, AHG-LCT8倍(第1児分娩時はそれぞれ4倍, 8倍)であった. 無治療で終わった第1児より重症のNAITPである可能性はないと考えられたが, もし治療を要する場合, 年末年始では対処が困難なことを考慮して, 妊娠37週(分娩予定日1989年12月28日)陣痛誘発し, 12月13日出産した. 新生児は2896g(AGA)の女児, Apgar score9点, 臍帯血の血小板数37.9×10^4 /μlで, 生後12日まで血小板数は正常で, 出血斑などの出血症状を認めなかった. 血清学的検査:HLA型はそれぞれ, 父:A2, A24/Bw52, B35(Bw4, Bw6)/Cw3, - 母:A26, A31/B7, Bw62(-, Bw6)/Cw3, Cw7 I児:A24, A26/Bw52, B62(Bw4, Bw6)/Cw3, - II児:A24, A31/B7, Bw52(Bw4, Bw6)/Cw7, - 母の抗HLA抗体の特異性は抗B51+Bw52+B44で, 臍帯血には抗HLA抗体は検出されなかった. 母血清と父血小板との交差試験はMPHA, PSIFTともに陰性, 父血小板で吸収後の母血清と父リンパ球との交差試験はLCT, AHG-LCTともに陰性であった. 考察:第2児も第1児と同様にBw52をもっていたが, 母の抗Bw52抗体は児に影響を与えなかった. 抗HLA抗体によるNAITPは第1児に多く, 第2児以降には少ないといわれているが, 本例も同様であった. |
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ISSN: | 0546-1448 |