QT延長からのtorsade de pointesを合併し,β刺激薬の投与が有効であったたこつぼ型心筋症の1例

症例は76歳の女性. 2003年9月より徐脈, 心房期外収縮にて近医外来加療中であった. 2004年7月頃よりふらつき, 失神が出現したため, 精査目的に同院に入院. いったん軽減したが精神的ストレスを契機として再び失神を繰り返すようになった. 心電図上I, II, aVF, V2~6で巨大陰性T波と著明なQT延長, またモニター心電図にてtorsade de pointes(TdP), 心室頻拍(VT)の出現を認めたため当院に救急搬送された. 緊急心臓カテーテル検査では冠動脈は正常で, 左室造影では心尖部を中心に冠動脈支配領域に一致しない壁運動異常がみられた. 入院後も非持続性心室頻拍が頻発...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in心臓 Vol. 38; no. 1; pp. 32 - 37
Main Authors 天谷直貴, 中野 顕, 宇隨弘泰, 白崎温久, 水口敏宏, 上田孝典, 李 鍾大
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本心臓財団 15.01.2006
Online AccessGet full text
ISSN0586-4488

Cover

Loading…
More Information
Summary:症例は76歳の女性. 2003年9月より徐脈, 心房期外収縮にて近医外来加療中であった. 2004年7月頃よりふらつき, 失神が出現したため, 精査目的に同院に入院. いったん軽減したが精神的ストレスを契機として再び失神を繰り返すようになった. 心電図上I, II, aVF, V2~6で巨大陰性T波と著明なQT延長, またモニター心電図にてtorsade de pointes(TdP), 心室頻拍(VT)の出現を認めたため当院に救急搬送された. 緊急心臓カテーテル検査では冠動脈は正常で, 左室造影では心尖部を中心に冠動脈支配領域に一致しない壁運動異常がみられた. 入院後も非持続性心室頻拍が頻発し徐脈も伴っていたが, 急性期はβ刺激薬の持続投与が奏効した. TdP, VTのコントロールにβ刺激薬の持続投与が有効であったたこつぼ型心筋症と考えられた1例を経験したので報告する.
ISSN:0586-4488