低出力He-Neレーザーによる創傷治癒に関する研究

低出力レーザーの創傷治癒促進効果についての基礎的検討を行ったので報告する. 使用した装置は, メラHe-Neコールドレーザー治療器で, ラットの背部に直径1cmの円形な皮膚欠損創を両側に作成し, 約5.4J/平方センチメートルの照射を連日行った. 創作成翌日から照射した群と3日後からの照射群との比較で, 後者にも効果が認められた. ストレプトゾトシン投与糖尿病群において, 初期の膿苔の早期消失と肉芽が形成されてからの著明な促進が認められた. 抗癌剤(Doxorubicin,MitomycinC)を投与した創治癒遅延群では照射側で非投与群に近い創治癒がみられた. 以上より, 低出力レーザーが,...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本レーザー医学会誌 Vol. 13; no. 1; p. 67
Main Authors 小谷裕美, 葛西眞一, 平井修二, 水戸廸郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本レーザー医学会 01.03.1992
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:低出力レーザーの創傷治癒促進効果についての基礎的検討を行ったので報告する. 使用した装置は, メラHe-Neコールドレーザー治療器で, ラットの背部に直径1cmの円形な皮膚欠損創を両側に作成し, 約5.4J/平方センチメートルの照射を連日行った. 創作成翌日から照射した群と3日後からの照射群との比較で, 後者にも効果が認められた. ストレプトゾトシン投与糖尿病群において, 初期の膿苔の早期消失と肉芽が形成されてからの著明な促進が認められた. 抗癌剤(Doxorubicin,MitomycinC)を投与した創治癒遅延群では照射側で非投与群に近い創治癒がみられた. 以上より, 低出力レーザーが, 細菌繁殖の抑制と線維芽細胞の活性化の両方の作用で創治癒を促進していることが示された.
ISSN:0288-6200