第2世代HCV抗体検査キット陽性率と献血者の年齢, GPT値との関係

平成4年2月よりHCV抗体検査をオーソc100-3キット(c100-3)からダイナボットPHAキット(PHA)に移行したことに伴い, 岡山県の献血者のHCV抗体陽性率が約0.5%上昇した. そこで, 献血者を年齢別, GPT値別及び輸血歴の有無により分類し, PCR法を用いて両キットを比較し, その原因について調べた. その結果, 献血者1,090例を対象とした時, PHAの方がPCRの結果とより良好に一致し, 高年齢者群(50歳以上), GPT正常者群(35KU以下)及び輸血歴(102例)を有する献血者のHCV抗体陽性率が増加していることがわかった. これらの現象は, 検体数を増やしても同じ...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 38; no. 6; p. 878
Main Authors 栗木原修治, 直木恭子, 山本一夫, 宮原正行, 佐藤博正, 宮本寛治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.12.1992
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Summary:平成4年2月よりHCV抗体検査をオーソc100-3キット(c100-3)からダイナボットPHAキット(PHA)に移行したことに伴い, 岡山県の献血者のHCV抗体陽性率が約0.5%上昇した. そこで, 献血者を年齢別, GPT値別及び輸血歴の有無により分類し, PCR法を用いて両キットを比較し, その原因について調べた. その結果, 献血者1,090例を対象とした時, PHAの方がPCRの結果とより良好に一致し, 高年齢者群(50歳以上), GPT正常者群(35KU以下)及び輸血歴(102例)を有する献血者のHCV抗体陽性率が増加していることがわかった. これらの現象は, 検体数を増やしても同じ傾向を示した. このことから, PHAのHCV抗体の検出率の増加は, c100-3で見逃される傾向にあった上記各群における陽性率の上昇が一因であると考えられる. また, これらのグループの陽性者の検出には, PHAに含まれているcore抗原が大きく寄与していると思われ, PHAは献血者のHCVスクリーニング法として優れた方法であると考えられる.
ISSN:0546-1448