血液浄化療法における輸血の位置付け
Critical care領域における, 血液浄化法の進歩には目覚しいものがある. 今や必須の治療手段となっている. 血液浄化法施行時に種々の理由により輸血療法を併用しなければならない症例は少なくない. 輸血と最も関連の深い血液浄化法は人工肝補助療法として肝不全症例に対して, あるいは免疫疾患などに対して施行される血漿交換(PE)である. PEにおいては病因物質を含む患者血清を分離破棄し, 有用物質を含んでいる新鮮凍結血漿(FFP)で置換する方法である. そのためFFPを大量に輸注するが故にhypematremia, metabolic alkalosis, colloid osmotic p...
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Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 49; no. 2; p. 218 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本輸血学会
01.05.2003
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Summary: | Critical care領域における, 血液浄化法の進歩には目覚しいものがある. 今や必須の治療手段となっている. 血液浄化法施行時に種々の理由により輸血療法を併用しなければならない症例は少なくない. 輸血と最も関連の深い血液浄化法は人工肝補助療法として肝不全症例に対して, あるいは免疫疾患などに対して施行される血漿交換(PE)である. PEにおいては病因物質を含む患者血清を分離破棄し, 有用物質を含んでいる新鮮凍結血漿(FFP)で置換する方法である. そのためFFPを大量に輸注するが故にhypematremia, metabolic alkalosis, colloid osmotic pressure(COP)の急激な低下などの副作用が発症する. この副作用を回避するために, われわれはPEを持続的に施行し, さらに持続的血液濾過透析(CHDF)を併用する方法を採用している. この方法により上記の副作用は激減した. また急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の治療においてもCHDFはalveolar hyperpermeabilityを惹起している各種humoral mediatorを除去することや, 肺間質の浮腫を除去するという機序を介して極めて有効であることを報告してきた. そして, CHDFにより肺間質の浮腫を除去するにはCOPを上昇させておくことが必須であるが, そのためにはoncotic agentを投与する必要があり, FFPや血漿製剤の投与を行なっている. また現在は循環管理の目標は組織酸素代謝の維持, あるいはdysoxiaの回避と認識されているが, 組織レベルでの浮腫の改善はこの目標を達成するための有効な手段であり, 肺間質の浮腫の場合と同様にoncotic agentを投与しつつ, CHDFにて除水する必要がある. 以上, 本講演ではcritical care領域における血液浄化法施行時の輸血, 特にFFPや血漿製剤の必要性を中心に報告する予定である. |
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ISSN: | 0546-1448 |