水産品のリステリア汚染
「はじめに」Listeria monocytogenes(リステリア, モノサイトゲネス, 以下リステリアとする)は, 食品媒介感染症の原因菌の一種であり, 食品を介してヒトにリステリア症を引き起こす. リステリア症の主症状は髄膜炎, 敗血症, 脳炎などで, 一般的な食中毒の症状に比べて重篤であり, 特に乳幼児, 高齢者, 妊婦などがリステリア症に罹りやすく, 重症化すると致死率が高い. 本菌は1920年頃から人畜共通感染症の原因菌として知られていたが, 1980年代に入り, カナダでコールスロー(キャベツサラダ)を原因とする集団発生事例が報告されて以来, 欧米で食品を介したリステリア症の集団...
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Published in | 生活衛生 Vol. 50; no. 4; pp. 175 - 184 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
大阪生活衛生協会
30.07.2006
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ISSN | 0582-4176 |
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Summary: | 「はじめに」Listeria monocytogenes(リステリア, モノサイトゲネス, 以下リステリアとする)は, 食品媒介感染症の原因菌の一種であり, 食品を介してヒトにリステリア症を引き起こす. リステリア症の主症状は髄膜炎, 敗血症, 脳炎などで, 一般的な食中毒の症状に比べて重篤であり, 特に乳幼児, 高齢者, 妊婦などがリステリア症に罹りやすく, 重症化すると致死率が高い. 本菌は1920年頃から人畜共通感染症の原因菌として知られていたが, 1980年代に入り, カナダでコールスロー(キャベツサラダ)を原因とする集団発生事例が報告されて以来, 欧米で食品を介したリステリア症の集団事例が相次いで報告され, 食品媒介感染症の原因菌として急速に注目を集めるようになった[1]. わが国においては, 感染症法の施行に伴って1999年に食品衛生法施行規則が一部改正された際に, リステリアが食中毒の起因菌として「食中毒統計作成要領」の中に例示されることになり, リステリア症が食品媒介感染症であると認識されるようになった[2]. |
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ISSN: | 0582-4176 |