術後IV-PCA(Intravenous-Patient Controlled Analgesia)で生じる悪心嘔吐は翌日にフェンタニル混合液を希釈することで軽減できるか?~フェンタニル効果部位濃度シミュレーションと患者評価による希釈プロトコールの検証

悪心嘔吐は, 術後しばしばみられる合併症で, 術後疼痛管理の質を落とし, 離床を遅らせる原因となる. 離床の遅延は入院期間を延長し, 病院経営上も大きな問題となる可能性がある. 当院の整形外科手術後の患者では, 2008年11月より術後鎮痛法としてフェンタニルによるIV-PCAを開始している. IV-PCAにより疼痛コントロールは良好となったが, 一方で悪心嘔吐の出現が課題となった. 悪心嘔吐の誘引として, 術後の麻薬使用, 手術翌朝からの食事開始, 離床へ向けての積極的な頭部挙上などが考えられる. 対策としてドロペリドールやデキサメサゾンを患者に応じて投与しているが, その効果は十分ではない...

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Published in日本ペインクリニック学会誌 Vol. 16; no. 4; p. 521
Main Authors 宮津光範, 伊藤恭史, 森島徹朗, 津田喬子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本ペインクリニック学会 25.09.2009
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ISSN1340-4903

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Summary:悪心嘔吐は, 術後しばしばみられる合併症で, 術後疼痛管理の質を落とし, 離床を遅らせる原因となる. 離床の遅延は入院期間を延長し, 病院経営上も大きな問題となる可能性がある. 当院の整形外科手術後の患者では, 2008年11月より術後鎮痛法としてフェンタニルによるIV-PCAを開始している. IV-PCAにより疼痛コントロールは良好となったが, 一方で悪心嘔吐の出現が課題となった. 悪心嘔吐の誘引として, 術後の麻薬使用, 手術翌朝からの食事開始, 離床へ向けての積極的な頭部挙上などが考えられる. 対策としてドロペリドールやデキサメサゾンを患者に応じて投与しているが, その効果は十分ではない. IV-PCA実施途中で, 投与する麻薬の濃度を下げれば悪心嘔吐が減るかもしれないという仮説のもと, 手術翌日朝にディスポーザブルポンプ内容液(フェンタニル混合液)を看護師が希釈するというプロトコールを考案した. また, 希釈方法は, 麻薬含有注射液の返却時に麻薬含有量の計算が必要であるという点を考慮し, 計算が簡便となるよう工夫した. このプロトコールの妥当性と有用性を, 患者評価とフェンタニル効果部位濃度シミュレーションにより検証した.
ISSN:1340-4903