PCR-SSP法を用いたABO血液型の遺伝子解析

【目的】昨年度の本学会で我々が報告したPCR-RFLP法を用いることにより遺伝子レベルでのABO genotypingが可能になった. また亜型血液型についても, 一部については遺伝子診断が可能になってきている. 今回我々は, 簡単に塩基置換などを検出する目的で, PCR-SSP(PCR Amplification with Sequence Specific Primers)を各ABOアレルについて実施したので報告する. 【方法】末梢血よりグアニジン・チオシアナート迅速DNA抽出法で得られたDNA250ngをテンプレートとして以下のプライマーを組み合わせてPCRを行った. 増幅に用いたプライ...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 40; no. 2; p. 304
Main Authors 小林賢, 岩崎誠, 阿藤みや子, 鈴木洋司, 関口進
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.05.1994
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Summary:【目的】昨年度の本学会で我々が報告したPCR-RFLP法を用いることにより遺伝子レベルでのABO genotypingが可能になった. また亜型血液型についても, 一部については遺伝子診断が可能になってきている. 今回我々は, 簡単に塩基置換などを検出する目的で, PCR-SSP(PCR Amplification with Sequence Specific Primers)を各ABOアレルについて実施したので報告する. 【方法】末梢血よりグアニジン・チオシアナート迅速DNA抽出法で得られたDNA250ngをテンプレートとして以下のプライマーを組み合わせてPCRを行った. 増幅に用いたプライマーは, AとOアレルに特異的なABO-5AOsとABO-3AOs, Bアレルに特異的なABO5BsとABO3Bs, Oアレルに特異的なABO-5OsとABO-3OsおよびAとBアレルに特異的なABO-5ABsとABO-3ABsである. PCR増幅は, 熱変性96℃30秒, アニーリング65℃45秒, 伸長反応72℃30秒を1サイクルとし, 30回, アステック社製PC-700を用いて行った. 増幅した断片を4%NuSieve 3:1アガロースゲルで泳動後, エチジウムブロマイド染色し, バンドを検出した. 【結果】ABO-5AOsとABO-3AOsで増幅した場合には, AとOアレルが51bpで, ABO-5BsとABO-3Bsでは, Bアレルのみが60bpで, ABO_5OsとABO-3Osの場合には, Oアレルのみが45bpで, またABO-5ABsとABO-3ABsの増幅では, AとBアレルのみが41bpでそれぞれ増幅され, RFLP法の結果と一致していた. またこの方法を利用してcisABの遺伝診断を試みた結果, 既知の報告と矛盾のない増幅が認められた. この方法は, 判定を増幅されたDNA断片の有無で行うことから, RFLP法などに比較して非常に短時間で遺伝子型を決定することができた. 【結論】(1)PCR-SSP法はRFLP法で検出不可能な803塩基を含め, A, B, Oアレルをそれぞれ区別することが可能であった. (2)cisABの遺伝診断は, RFLPでは不可能であったが, PCR-SSP法により, 簡便に検出できた.
ISSN:0546-1448