小児, 来院時心肺停止(DOA)症例の検討

小児の突然死例については, 原疾患の診断の困難さ・脳蘇生治療抵抗性であることなど問題点が多い. <目的>小児来院時心肺停止(DOA)症例について, 診断・治療など, 現状の評価をすべく, retrospectiveに検討した. <対象>1989年9月より1992年6月までに, 当集中治療センターに入室した1162例のうちの, 小児DOA症例10例を対象とした. DOAは, 来院時心停止(ECG上, 心静止または心室細動)・呼吸停止状態の狭義のDOA症例を対象とした. 男児5例, 女児5例. 年齢は, 1カ月より5歳, 平均2.80歳であった. <方法>対象症...

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Published in蘇生 Vol. 11; p. 61
Main Authors 石井健, 小澤みどり, 福家伸夫, 森田茂穂
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本蘇生学会 01.04.1993
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Summary:小児の突然死例については, 原疾患の診断の困難さ・脳蘇生治療抵抗性であることなど問題点が多い. <目的>小児来院時心肺停止(DOA)症例について, 診断・治療など, 現状の評価をすべく, retrospectiveに検討した. <対象>1989年9月より1992年6月までに, 当集中治療センターに入室した1162例のうちの, 小児DOA症例10例を対象とした. DOAは, 来院時心停止(ECG上, 心静止または心室細動)・呼吸停止状態の狭義のDOA症例を対象とした. 男児5例, 女児5例. 年齢は, 1カ月より5歳, 平均2.80歳であった. <方法>対象症例について, 来院までの経過・入院中に行われた検査(単純X線写真, CT像, ECG, エコーなど)に基づく診断, 施行した治療, またそれに対する効果, 予後について検討した. <結果>1)診断:外因性疾患3例, 内因性疾患7例(そのうち明らかな基礎疾患を認めた症例は, 脳性小児麻痺窒息例1例のみで, 他の6例は, 熱発・咳などの上気道炎様症状を認めていただけであった. 蘇生後のECGでQT延長を認めた症例はなかった. )であった. 2)治療:比較的長期(>7日)に加療しえた症例は, 2例であった. 2例とも, 急速に脳腫脹を来した. 3)予後:全例死亡した. <考察>1)小児に限らず, DOA症例の原因疾患の診断には難渋する場合が多い. しかしながら, 小児においては, 来院前いかにもDOAとなりうべからざる経過の症例が認められる. 今回の検討でも, 6例についてその診断が判然としない. 2)小児突然死については, その病態としては病理学的には検索しえない, 機能的障害の存在が想定され, 今後の検討がのぞまれる.
ISSN:0288-4348