ビデオ嚥下造影下での舌骨上筋群表面筋電の測定

舌骨上筋群の表面筋電と併せてビデオ嚥下造影(VF)を行い, 表面筋電と舌骨との関係を観察した. 対象は, 28歳の男性健常者および67歳の男性脳血管障害患者であった. リクライニング車椅子に座った状態で, 予めバリウム液を口に含んでおいてもらい, 2m離れた所に置いた赤いランプが消えると同時に飲み込んでもらい, VFを行った. 健常者においては, バリウム液の量は, 3,5,10ml, 背もたれの角度は90度および60度で行った. 患者においては, バリウム液の量は, 3,5ml, 背もたれの角度は90度で行った. 同時に, 舌骨上筋群の表面筋電は電極をオトガイ隆起-下顎角の前1/3の位置に左...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 36; no. 12; p. 1022
Main Authors 辻内和人, 有田元英, 里宇明元, 千野直一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.12.1999
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Summary:舌骨上筋群の表面筋電と併せてビデオ嚥下造影(VF)を行い, 表面筋電と舌骨との関係を観察した. 対象は, 28歳の男性健常者および67歳の男性脳血管障害患者であった. リクライニング車椅子に座った状態で, 予めバリウム液を口に含んでおいてもらい, 2m離れた所に置いた赤いランプが消えると同時に飲み込んでもらい, VFを行った. 健常者においては, バリウム液の量は, 3,5,10ml, 背もたれの角度は90度および60度で行った. 患者においては, バリウム液の量は, 3,5ml, 背もたれの角度は90度で行った. 同時に, 舌骨上筋群の表面筋電は電極をオトガイ隆起-下顎角の前1/3の位置に左右張り付け双極誘導で計測した. 得られた筋電波形はPCに取り込み, 整流化したあと, 各データの前後10データずつを平均してスムージングした. 画像データは, コンピュータに動画として取り込み, 最初に舌骨が動き始めるフレームと前上方に急速に動き始めるフレームを確認した. そして, X線発生スイッチが切れたフレームを起点として, 1フレームを1,000/30msと考え, 嚥下指示のライトが消えてからの時間を推定した. その結果, いずれの条件でも, 嚥下開始指示後に得られる舌骨上筋群の発火開始時間は, VF上での舌骨移動開始の時間と一致していた. また, 健常者と患者では大きな差を認め, 患者でより遅れており, 嚥下障害の評価法として利用できる可能性が示唆された.
ISSN:0034-351X