脊髄終糸の過緊張によって発症した腰痛,下肢痛の検討(tight filum terminale)

画像診断にて, 原因不明な腰痛, 下肢痛の中には, 脊髄終糸の過緊張によって発症するものも存在する. 今回, Tight filum teminale(以下TFT)に対して, 終糸の切離のみを行った症例の術後経過を検討した. TFTの診断は, 腰痛または下肢痛, BBD, 不とう性, 画像所見に一致しない神経所見, 誘発テストを行い臨床診断を行った. 手術は, Sl高位での硬膜内での終糸切離をモニタリング下に行った. 術後1カ月の経過では, 腰痛, 下肢痛ならびに膀胱直腸障害が比較的早期に改善する傾向を認めた. 術後3年の経過を追えた11例のJOAスコアーは, 術後6カ月まで徐々に改善していっ...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本腰痛学会雑誌 Vol. 11; no. 1; p. 224
Main Authors 遠藤健司, 駒形正志, 西山誠, 池上仁志, 田中恵, 山本謙吾
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腰痛学会 30.09.2005
Online AccessGet full text
ISSN1345-9074

Cover

More Information
Summary:画像診断にて, 原因不明な腰痛, 下肢痛の中には, 脊髄終糸の過緊張によって発症するものも存在する. 今回, Tight filum teminale(以下TFT)に対して, 終糸の切離のみを行った症例の術後経過を検討した. TFTの診断は, 腰痛または下肢痛, BBD, 不とう性, 画像所見に一致しない神経所見, 誘発テストを行い臨床診断を行った. 手術は, Sl高位での硬膜内での終糸切離をモニタリング下に行った. 術後1カ月の経過では, 腰痛, 下肢痛ならびに膀胱直腸障害が比較的早期に改善する傾向を認めた. 術後3年の経過を追えた11例のJOAスコアーは, 術後6カ月まで徐々に改善していった. 6年を追えた5例では, 術後3年以降では, 症状に変化がなかった. しばしば腰椎椎間板ヘルニアとして治療されていることが多いが, BBDの存在, MRI所見, 誘発テストが陽性であることが異なり鑑別が重要である. 両像診断で神経圧追症状のない腰痛, 下肢痛の鑑別診断としてtight filum teminaleを考慮する必要があると考える.
ISSN:1345-9074