物理探査法による地盤の工学的物性値の可視化について 地盤の透水係数を例として

物理探査法は情報処理技術の向上とともに測定・解析技術の高精度化が図られているが, 調査地点の水理地質構造や力学強度特性の評価に対しては, 餌析断面の解釈に客観性がなく, 概略的な地質構造を把握するための補助的な手段との評価にとどまっている. 本論では, 複数の物理検層データを組み合わせて透水係数を求める手法を適用し, 室内試験やほかの手法によるデータと比較してその有効性を検討した. DE LIMA (1995) による泥質砂岩を対象とした電気比抵抗モデルを基に複数の物理検層データ (電気・自然γ線・中性子検層) から透水係数を推定する手法を提案した. この手法を新第三紀堆積性軟岩地点の検層デー...

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Published in応用地質 Vol. 42; no. 6; pp. 342 - 350
Main Author 鈴木, 浩一
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 一般社団法人 日本応用地質学会 10.02.2002
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ISSN0286-7737
1884-0973
DOI10.5110/jjseg.42.342

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Summary:物理探査法は情報処理技術の向上とともに測定・解析技術の高精度化が図られているが, 調査地点の水理地質構造や力学強度特性の評価に対しては, 餌析断面の解釈に客観性がなく, 概略的な地質構造を把握するための補助的な手段との評価にとどまっている. 本論では, 複数の物理検層データを組み合わせて透水係数を求める手法を適用し, 室内試験やほかの手法によるデータと比較してその有効性を検討した. DE LIMA (1995) による泥質砂岩を対象とした電気比抵抗モデルを基に複数の物理検層データ (電気・自然γ線・中性子検層) から透水係数を推定する手法を提案した. この手法を新第三紀堆積性軟岩地点の検層データに適用した結果, 得られた透水係数はコア試料のそれと調和的な値が得られた. 次に, KATSUBE and HUME (1987) に基づき電気・中性子検層から透水係数を求める手法を割れ目を含む花崗岩類よりなる硬岩地点での検層データに適用した. その結果, 透水係数プロファイル中の高透水部は, 温度検層により検出された“水みち”の深度と整合した. 今後, さまざまな岩種に対する地盤物性値間の相関性を明らかにし, 比抵抗・弾性波速度の数値断面から透水係数の空間分布を求めることは可能であると考えられる.
ISSN:0286-7737
1884-0973
DOI:10.5110/jjseg.42.342