プッシュアップ動作における肩甲帯周囲筋の表面筋電図からの考察

脊損患者にとって, プッシュアップ動作は褥瘡の予防, 移乗, 移動動作等を行う上での重要な基本動作である. 今回我々は, プッシュアップ動作に必要といわれる, 特に肩甲帯周囲筋の9筋群―三角筋前部, 中部, 後部, 棘下筋, 広背筋, 大胸筋, 僧帽筋中部, 上腕二頭筋, 上腕三頭筋長頭―に対し, プッシュアップ時の表面筋電図を, 健康成人5名(23~42歳, 平均28.6歳)から計測し, 徒手筋力テストに従って計測しておいた被検筋の表面筋電図とそのmax ampulitudeの比率を%MMTで表し比較検討した. 測定肢位は, 体幹に軽度の前傾をつける肢位(1)と, 前傾をつけず, sitti...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 36; no. 12; p. 923
Main Authors 勝山真介, 金田浩治, 住田幹男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.12.1999
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Summary:脊損患者にとって, プッシュアップ動作は褥瘡の予防, 移乗, 移動動作等を行う上での重要な基本動作である. 今回我々は, プッシュアップ動作に必要といわれる, 特に肩甲帯周囲筋の9筋群―三角筋前部, 中部, 後部, 棘下筋, 広背筋, 大胸筋, 僧帽筋中部, 上腕二頭筋, 上腕三頭筋長頭―に対し, プッシュアップ時の表面筋電図を, 健康成人5名(23~42歳, 平均28.6歳)から計測し, 徒手筋力テストに従って計測しておいた被検筋の表面筋電図とそのmax ampulitudeの比率を%MMTで表し比較検討した. 測定肢位は, 体幹に軽度の前傾をつける肢位(1)と, 前傾をつけず, sitting pushupの肢位(2)の, 2通りで行った. その結果, 肢位(1), (2)ともに, 上腕三頭筋, 広背筋, 大胸筋の%MMTが著明に高く, 体幹の前傾をとった肢位(1)では, これら3筋に加えて, 三角筋前部の%MMTも顕著に高かった. このことは, いわゆるsitting push up時には, 上腕三頭筋, 広背筋, 大胸筋の働きが大きく, 体幹の前傾をつけるとさらに三角筋前部の働きも重要であることがわかった. 筋力のみで論じることはできないが, 可及的早期より, 以上4筋の筋力増強を図ることは, ADLの獲得, 向上には重要なことと思われた.
ISSN:0034-351X