代謝性アルカローシス時のAcetazolamide投与が血液ガス, P50, 2,3-DPGに与える影響
<目的>Acetazolamideは, 生体内の酸塩基平衡に重要な役割を演じている炭酸脱水酵素の阻害薬で, 利尿剤や呼吸中枢刺激剤, 代謝性アルカローシス治療薬などとして用いられている. 今回, 代謝性アルカローシス時のAcetazolamide(diamox(R))投与がP50, 2,3-DPGに与える影響について検討した. <対象および方法>対象はICUにおいてB.E.+7mEq/LまたはHCO^- _3 32mEq/L以上を示した術後患者あるいは慢性呼吸不全患者14名とした. diamox(R)は250mgを30分で静注し, 静注前, 静注2時間後, 翌日の計3回...
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Published in | 蘇生 Vol. 11; p. 115 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本蘇生学会
01.04.1993
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ISSN | 0288-4348 |
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Summary: | <目的>Acetazolamideは, 生体内の酸塩基平衡に重要な役割を演じている炭酸脱水酵素の阻害薬で, 利尿剤や呼吸中枢刺激剤, 代謝性アルカローシス治療薬などとして用いられている. 今回, 代謝性アルカローシス時のAcetazolamide(diamox(R))投与がP50, 2,3-DPGに与える影響について検討した. <対象および方法>対象はICUにおいてB.E.+7mEq/LまたはHCO^- _3 32mEq/L以上を示した術後患者あるいは慢性呼吸不全患者14名とした. diamox(R)は250mgを30分で静注し, 静注前, 静注2時間後, 翌日の計3回測定を行った. 測定項目は, 動脈血および中心静脈血ガス分析, P50, 2,3-DPGとした. 測定中酸素濃度, 呼吸条件は一定とした. <結果>P50は, 前値に比べ翌日で低下傾向を示すが有意ではなかった. 2,3-DPGは, 有意な変化を示さなかった. 動脈血P_O2 は, 上昇傾向を示し, 2時間後, 翌日とも有意であったが, 中心静脈血P_O2 は有意な変動を示さなかった. P_CO2 は翌日でともに有意に低下した. pH, HCO^- _3 , B.E.は, 2時間後, 翌日とも動脈血および中心静脈血で有意に低下した. <考察>一般に炭酸脱水酵素阻害薬投与により, 呼吸中枢内P_CO2 の上昇や頸動脈小体内pHの下降によってその受容器が刺激され, また, 腎からのHCO^- _3 排泄促進により生じた代謝性アシドーシスが末梢化学受容器を刺激するなどによって換気量が増加し血中P_CO2 が低下するとされている. 更に, P_ACO2 の低下によるP_AO2 の上昇, pH下降による酸素解離曲線の右方移動などが言われている. しかし, 今回の結果から, diamox(R)投与後早期に代謝性アシドーシスとなるにもかかわらずP_CO2 の低下を伴わずにP_O2 は上昇し, また, P50の変化から酸素解離曲線の右方移動もみられなかった. <結語>diamox(R)投与後P_CO2 の低下がみられない早期からP_O2 は上昇したが, 経過中酸素解離曲線の右方移動は認められなかった. |
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ISSN: | 0288-4348 |